予想とまとめ

週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、中東情勢激化は重しに
2025/06/21 03:39
◆豪ドル、リスクセンチメントに敏感で中東情勢に警戒
◆豪ドル、5月月次CPIに注目
◆ZAR、反イスラエル・親イランのため中東紛争長期化・激化は売り要因に

予想レンジ
豪ドル円 92.50-95.50円
南ア・ランド円 7.85-8.20円

6月23日週の展望
 豪ドルは、来週も引き続き方向感のない動きになりそうだ。市場の注目はトランプ米政権による関税の動向と中東情勢になっており、豪州の国内情勢よりも国外要因が左右する相場展開が予想される。

 イスラエルとイラン間での軍事攻撃が拡大している中で、週末には米国のイラン攻撃の可能性が示唆された。市場では、ホルムズ海峡封鎖や、他の中東国を巻き込む紛争拡大に発展してしまうかなどが警戒されている。地政学的には豪州と中東は距離があるものの、豪ドルはリスクセンチメントの移り変わりに動意づきやすいこともあり、戦争の状況を見極める必要がある。

 また、関税に関しても、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、高賦課関税は予想されていない。ただ、7月9日の追加関税の猶予期間を前にして、他国に対してのトランプ米大統領の関税強化が公表されれば豪ドルも動意づくだろう。

 経済指標では、豪州からは25日に発表予定の5月消費者物価指数(CPI)に注目。月次CPIには、四半期CPIの対象と比較して62~73%に相当する分のみしか含まれていないことで、全体像を示すものではない。ただ、1-3月期の国内総生産(GDP)が低調になる中で、月次とはいうもののインフレ指標が低下した場合は、豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力が高まりそうだ。なお、ニュージーランド(NZ)からは25日に5月貿易収支、27日にはANZ消費者信頼感指数が発表される予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られそうだ。イスラエルとイランの紛争が長期化・激化した場合には、リスク回避の動きでZARにとってはネガティブ要素となり、上値を抑えることになる。また、南アは昨年5月に国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルが計画していたパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファへの軍事攻撃を阻止するよう請求するなど、反イスラエルの姿勢を貫いている。また、昨年の年初からイランはBRICSに正式に加盟しており、南アとイランの関係も近い。イスラエルの自衛権を支持するG7各国と異なる姿勢を示していることも売り要因になるだろう。なお、来週の南アからの経済指標は、26日に4-6月期BER消費者信頼感と5月卸売物価指数(PPI)が発表予定。

6月16日週の回顧
 豪ドルは対ドルでは横ばい、対円では底堅かった。中東情勢の悪化では、有事のドル買いの勢いが強く、中でもドル円の上げ幅がやや広がったことが豪ドル円の支えになった。5月雇用統計は、新規雇用者数は予想に反してマイナスとなったが、マイナス要因が非常勤雇用者数の大幅減少だったことで市場の反応は限られた。ZARは軟調。中東情勢の悪化により、新興国通貨が売られやすい地合いだった。中でも、南アは反イスラエル姿勢を取っていることもあり、対ドルでは5月中旬以来の水準まで弱含んだ。(了)

(執筆:6月20日、09:30)

国内イベントスケジュール

2025/07/14 06:15
14日
08:505月機械受注
13:305月鉱工業生産確報
13:305月設備稼働率
13:305月第三次産業活動指数
17日
08:506月貿易統計(通関ベース)
08:50対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
18日
08:306月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
08:306月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
20日
参院選、投開票
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

海外イベントスケジュール

2025/07/14 06:30
14日
09:004-6月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値
15:306月スイス生産者輸入価格
16:30ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
19:306月インド消費者物価指数(CPI)
21:305月カナダ卸売売上高
24:00チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、議会証言
15日
08:016月英小売連合(BRC)小売売上高調査
09:307月豪ウエストパック消費者信頼感指数
11:004-6月期中国国内総生産(GDP)
11:006月中国鉱工業生産
11:006月中国小売売上高
18:007月独ZEW景況感指数
18:007月ユーロ圏ZEW景況感指数
18:005月ユーロ圏鉱工業生産
21:305月カナダ製造業出荷
21:306月カナダ消費者物価指数(CPI)
21:306月米CPI
エネルギーと食品を除くコア指数
21:307月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:15ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
16日
01:45バーFRB理事、講演
02:00バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
03:45コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
05:00ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
トルコ(民主主義の日)、休場
08:45ローガン米ダラス連銀総裁、講演
15:006月英消費者物価指数(CPI)
15:00CPIコア指数
小売物価指数(RPI)
18:005月ユーロ圏貿易収支
20:00MBA住宅ローン申請指数
20:005月南アフリカ小売売上高
21:00バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
21:156月カナダ住宅着工件数
21:306月米卸売物価指数(PPI)
食品とエネルギーを除くコア指数
22:156月米鉱工業生産
設備稼働率
22:15ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
23:00バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
23:30EIA週間在庫統計
17日
03:00米地区連銀経済報告(ベージュブック)
06:30ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
10:306月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
15:006月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
15:003-5月英失業率(ILO方式)
18:006月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
18:006月ユーロ圏HICPコア改定値
21:305月対カナダ証券投資
21:306月米小売売上高
21:306月米輸入物価指数
21:30前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
21:307月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
23:005月米企業在庫
23:007月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指
23:00クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
18日
02:30クックFRB理事、講演
05:005月対米証券投資動向
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(南アフリカ、18日まで)
07:30ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
15:006月独生産者物価指数(PPI)
17:005月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
18:005月ユーロ圏建設支出
21:306月米住宅着工件数
建設許可件数
23:007月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
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