東京為替見通し=1月東京都CPIを見極め、日米10年債利回りを睨みながらの展開か

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、10-12月期米国内総生産(GDP)速報値や12月米耐久財受注額、前週分の米新規失業保険申請件数などが予想より強い内容となり、米10年債利回りが3.51%台まで上昇したことなどで一時130.62円まで上昇した。ユーロドルは一時1.0851ドルまで下落した。ユーロ円は欧米株価の上昇を背景に投資家のリスク志向の円売り・ユーロ買いが強まり、一時141.91円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、1月の東京都区部消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、日米10年国債利回りの動向を睨みながらの展開が予想される。
 昨日のドル円は、東京市場では時間外の米10年債利回りが3.4%台だったことなどで、129.03円の安値を付けたが、ニューヨーク市場では、3.5%台への上昇を受けて130.62円の高値まで買い戻された。本日も時間外の米10年債利回り、そして日本国債10年物利回りの動向を睨みながらの展開が予想される。

 8時30分に発表される1月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は前年比+4.2%と予想されており、昨年12月の前年比+4.0%からの上昇が見込まれている。2月24日に発表予定の1月全国CPIの先行指標となることで、予想通りに上昇していた場合は、1月全国CPIも同様の上昇が予想されることになる。CPIが上昇基調を辿った場合、12月の持家の帰属家賃を除く総合指数が前年比+4.8%と11月の+4.5%から上昇していたことで、+5.0%台に乗せる可能性が高まることになる。
 すなわち、1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示された2022年度のコアCPI(前年比+3.0%)から乖離していく可能性が高まるため、2023年度の見通し中央値(+1.6%)、2024年度の見通し中央値(+1.8%)を前提にした金融緩和策の継続スタンスへの信頼感が低下することになる。
 「持家の帰属家賃除く総合」は、名目賃金の実質化に用いられる。12月の前年比+4.8%の意味は、12月の名目賃金が前年比+4.8%以上増えない限り、実質賃金はマイナスということなる。

 9時30分に発表される10-12月期豪PPIでは、7-9月期の1998年の統計開始以来の高水準から伸び率が鈍化しているのか、それともCPIのようにさらに上昇しているのかを見極めることになる。25日に発表された豪10-12月期CPIが33年ぶりの高水準となる前年比+7.8%を記録したことで、2月7日の豪準備銀行(RBA)理事会での利上げ幅が0.25%から0.50%程度になることが見込まれている。PPIがインフレ高進を示していた場合は、0.50%の利上げ観測が高まることになる。


(山下)
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