ロンドン為替見通し=欧州インフレ鈍化に対する当局者見解に注目

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは、ユーロ圏インフレが想定より鈍化したことに対する欧州金融当局者の見解を確認しながらの取引きとなりそうだ。昨日発表された11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は前年比2.4%と2年4カ月ぶりの低水準を記録。市場予想は前回から0.2ポイント低い2.7%だった。

 欧州のインフレ減速が顕著となったことを受けて、短期金融市場は欧州中央銀行(ECB)が来年春にも利下げを開始することを織り込んだ。また更に、0.25ポイントの政策金利引き下げが最大で5回との見方も広がりつつあるようだ。

 ここにきて緩和観測が急速に高まっており、それについて本日講演が予定されているエルダーソECB専務理事、デコス・スペイン中銀総裁、ラガルドECB総裁がどのような考えを示すかが注目される。まだ1カ月だけではあるが、インフレ目標に0.4ポイントと迫ったのは事実。それにもかかわらず、具体的な理由を示さずに「利下げ議論は時期尚早」とだけ繰り返すようだと、当局への信頼が低下する恐れもある。

 ユーロドルの上値が重いままであれば、市場のポジションの偏りも意識されるかもしれない。先月21日時点のデータではあるが、米国の通貨先物市場で投機筋のポジションはユーロのネットロングが12.9万コントラクトだった。過去2週間で4万ほどネットロングが積み上がっている。7月の17.8万にはまだ届かないが、明らかな買い持ちに傾いているのは確かだ。

 なお、本日は欧州各国・地域の11月製造業PMIが発表予定。改定値のため、速報値から大きく振れない限り結果はスルーされそう。ただし、独PMI(予想42.3)が40に近づく雰囲気を見せるようだとユーロ重しになってしまうのではないか。

想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0935ドルを目先のめどとし、その上が30日高値1.0984ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0819ドル。


(小針)
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