株式明日の戦略-あきらめムードが漂い連日の大幅安、一方で過熱感は和らぐ

 16日の日経平均は大幅続落。終値は761円安の38471円。15日の米国では、市場予想を上回る3月小売売上高を受けて10年債利回りが4.6%台まで上昇。利下げ期待が大きく後退する中、中東の地政学リスクに対する警戒も再燃し、主要3指数がそろって場中に値を崩して下落した。

 これを受けて400円超下げて始まると、寄り付き直後を高値に下値模索が続いた。米長期金利の上昇を嫌気して大手半導体株が軒並み大幅安となったが、金利上昇が追い風となる金融株や円安が追い風になる自動車も売られたことで、全面安の様相が強まった。前場は800円を超える下落となって安値引け。後場に入って900円超下げて38300円台に入ったところでようやく売りが一巡した。14時台に入ると押し目を拾う動きが出てきて38500円台まで盛り返した。ただ、引けにかけては売り直され、終値では38500円を下回った。グロース250指数が2.8%安と大きく下落し、連日で年初来安値を更新した。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆7800億円。業種別ではプラスは精密機器と医薬品の2業種のみで、ゴム製品が小幅な下落にとどまった。一方、海運、石油・石炭、保険などが大幅安となった。前期の計画上振れ着地や今期の2桁営業増益計画が好感されたヨシムラ・フード・ホールディングス<2884.T>が急騰。半面、今期の減収減益計画が嫌気された古野電気<6814.T>がストップ安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり169/値下がり1465。水冷モジュールの生産能力拡大を発表したニデックが7%近い上昇。主力グロースの多くが売られる中、キーエンスやソニーGが逆行高となった。決算や自己株取得の発表が好感された東宝が急伸。通期見通しを下方修正したものの、配当政策の変更とこれに伴う初配の実施がポジティブサプライズとなったギックスがストップ高比例配分となった。

 一方、ソシオネクストや東京エレクトロンなど半導体株が軒並み大幅安。トヨタや三菱UFJなど外部環境の追い風(円安・米長期金利上昇)があった銘柄まで売り込まれたことは、全体のセンチメントを大きく悪化させた。足元で騰勢を強めていた東電HDや住友鉱山なども大幅安。決算が失望を誘ったJフロントが急落したが、前日には高島屋も決算で大きく売られていたことから、三越伊勢丹や松屋など百貨店株に警戒売りが波及した。

 本日はグロース市場にWill Smartが新規上場。全体の地合いも悪く公開価格割れからのスタートとなったが、寄った後の動きは良く、終値は初値を大きく上回った。

 日経平均は大幅安。きのうは安く始まった後は押し目買いが入って早い時間に安値をつけたが、きょうはあきらめムードが漂い、場中も下値模索が続いた。米国では雇用指標、物価指標に続いて小売指標も強かった。こうなると、米国の経済指標が市場予想を上回れば米国の長期金利は跳ねやすくなる。本日も3月の鉱工業生産や住宅着工件数などの指標が発表される。予想を下回る指標が出てきた際に米金利がどの程度低下するかを見たいところだが、債券市場に神経質となる局面では米国株は上がりづらくなる。

 米国株に期待できない中、日本株が独自の強さを発揮できるかが目先の焦点。来週23日(火)にはきょう大幅高となったニデックが決算を発表予定。そこから先は個別物色が盛り上がる状況がしばらく続くと見込まれる。今は決算発表の谷間で指数に振り回されやすい時期だが、来週になれば相場付きが大きく変わってくる可能性がある。

 テクニカルの節目を確認しておくと、日経平均は75日線(37718円、16日時点)が下に控えている。昨年の12月や今年の大発会に押した際には同水準がサポートになって切り返した。もう一段下を試しに行ったとしても75日線を割り込まずに反転できるようなら、過熱感が削がれた状態で決算発表シーズンに突入できる。3月決算銘柄で発表が早いのは、上述のニデック<6594.T>やファナック<6954.T>、キヤノン<7751.T>、信越化学<4063.T>など。きょうはファナックも逆行高となっているが、決算発表を見越してこれらの動きが良くなってくるかどうかに注意を払っておきたい。
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