NY為替見通し=ドル円、覆面介入への警戒感から神経質な展開が続くか

 本日のNY為替市場のドル円は、覆面介入への警戒感から神経質な展開が続くか。NY終盤である本日早朝、4円近く一気にドル安・円高が進行した場面では、政府・日銀が流動性の薄い時間帯を狙って円買い介入を実施したとの見方が今のところ優勢だ。米金融イベントを通過した後でもあり、市場も油断していたと思われる。

 なお、日銀当座預金残高の変動予想では短資会社予想と3.26兆から3.66兆円規模の乖離があった。この乖離幅が円買い介入に使用された可能性が高いとされている。本邦通貨当局がすぐに円転できる外貨準備高の外貨預金は、3月末で1550億ドル(@155円=約24兆円)だった。月曜日の覆面介入では5兆円規模、本日早朝の覆面介入で3.5兆円程度とした場合、15兆円程度の余力が残されている。
 
 著名エコノミストのジム・オニール氏は、円相場が通貨危機の様相を呈しつつあることに米当局は既に注視していると指摘。急落する円の安定を図る日本を助けるため、これまでより「具体的かつ公的」なレトリックを用いる可能性がある、と警告した。今後は、イエレン米財務長官らの見解により注目しておきたい。過去には、1998年のドル高・円安局面で円下支えのための日米協調介入が実施された。

 本日は複数の米経済指標が発表されるものの、明日に4月雇用統計を控えているため、かなり極端な結果にならない限り相場への影響は限定的だと思われる。指標は前週分の米新規失業保険申請件数や3月貿易収支、1-3月期の単位労働コストなど。

 昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は11月のFOMC、年内の利下げは1回と見込まれている。パウエルFRB議長は会見で「今年はこれまでのところ、特に確信を深められるようなデータは得られていない」と述べていた。明日の米雇用統計が確信に繋がるのか見極めることになる。

 FOMCでは米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)のペースについて、これまでの月間最大600億ドルが6月から250億ドルに減らされることが決定された。こちらは米長期債利回りの低下に繋がり、ドルの上値を抑える要因となっている。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは156.61円(日足一目均衡表・転換線)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは153.04円(5/1安値)




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