株式明日の戦略-買いが続かずマイナス転換、週末のあすも上値は重いか

 9日の日経平均は続落。終値は128円安の38073円。まちまちの米国株を受けて、寄り付きは小幅高。下げに転じたところではすぐに押し目買いが入ったことから、前場では概ねプラス圏で推移し、上げ幅を3桁に広げる場面もあった。一方、後場は200円超上昇して38400円台からスタートしたものの、上値の重い展開。13時以降はじわじわと水準を切り下げ、14時台半ばにはマイナス圏に沈んだ。引けにかけては下げ幅を3桁に広げ、安値圏で取引を終了。TOPIXも後場に失速したが、こちらはプラスを確保した。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆5000億円。業種別ではその他金融、その他製品、保険などが上昇した一方、非鉄金属、電気・ガス、証券・商品先物などが下落した。1Qが大幅な増益となったコーセー<4922.T>がストップ高。ファンケル<4921.T>も決算が好感されて急騰しており、化粧品需要の回復期待から資生堂<4911.T>も大幅高となった。半面、今期が大幅な営業減益計画となったレノバ<9519.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1081/値下がり519と、日経平均は3桁の下落となったものの、値上がり銘柄は多かった。今期の大幅増益・増配計画が好感された川崎重工が買いを集めてストップ高。今期のV字回復見通しを提示したIHIが値を飛ばし、オムロン、オリックス、ヤマハなどが決算を受けて大幅高となった。きのう決算を受けて大きく売られた任天堂が一転3%を超える上昇。三菱UFJ、MS&AD、T&Dなど金融株に強い動きが見られた。

 一方、今期の大幅減益計画が嫌気されたロームが10.7%安。今期の見通しが市場の期待に届かなかったヤマトHDが11.9%安と、決算失望銘柄はたたき売られた。太陽誘電、ライオン、東邦チタニウムなども決算を受けて大幅安。前日に決算で売られた三菱重工は、川崎重工が買いを集める一方で売りが止まらず6%を超える下落となった。米国でナスダックが弱かったことから、ソシオネクストや東京エレクロトンなど半導体株がの動きがさえなかった。

 日経平均は続落。概ね堅調ではあったものの、最初と最後が弱かった。プライムの値上がり銘柄は多く、TOPIXはプラスで終えているだけに、きょうの下げ自体を特段ネガティブ視する必要はない。ただ、テクニカルの節目が意識されるかどうかが重要な場面で、75日線(38417円、9日時点、以下同じ)や5日線(38324円)を下回って終えており、印象は悪い。ローソク足では陰線を形成しており、安値は38072円まであった。流れが良くない中で週末を迎えるため、あすの上値は重いだろう。先週の安値は5月2日につけた37958円で、これを下回ることなく反転できるかが注目される。
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