東京為替見通し=ドル円、米長期金利の低下で下値リスクに要警戒か

 27日のニューヨーク外国為替市場では米金利の低下を受けてドル売りが優勢となった。ドル円は148.55円まで下落し、ユーロドルは1.0925ドルから1.0957ドル付近まで上昇した。ユーロ円は欧米株価の下落を背景にリスク・オフの円買い・ユーロ売りで162.54円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利が低下していることで続落の可能性に警戒する展開が予想される。

 米10年債利回りは4.3%台まで低下しており、ドル売り要因となっている。先週末発表された11月の米総合購買担当者「雇用」指数(PMI)の低下や昨日発表された低調な10月米新築住宅販売件数などが影響しているもよう。

 今週のドル円の注目経済指標は、12月12-13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している30日に発表される米10月PCE価格指数だろう。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、12月FOMCでの金利据え置き、利下げ開始時期は来年5月、または6月からだと示唆している。もし、10月PCE価格指数の伸び率が鈍化していた場合、来年の利下げ開始時期の予想が前倒しされる可能性が高まることになる。

 商品先物取引委員会(CFTC)が発表した11月21日時点の円のネット売り持ちポジションは、10万5454枚となっていた。ドル円が続落し続けた場合は、円買い圧力が増大する可能性を示唆している。

 ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終第5波を示唆する「斜行三角形」を形成しつつあり、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」を形成しつつあることで、下値リスクが高まりつつある。
 そして短期的には「ダブル・トップ(151.72円・151.91円)」がネック・ラインである149.21円(11/3安値)を下抜けたことで完成し、目標値146.70円{=149.21円-(151.72円-149.21円)}が点灯している。

 豪ドルは、9時30分に発表される10月豪小売売上高(予想:前月比+0.1%)やその後に予定されているブロック豪準備銀行(RBA)総裁の講演に注目しておきたい。今週のオーストラリアの注目経済指標は、明日発表される同月消費者物価指数(CPI)なので、小売売上高では、予想から大幅に外れない限りは豪ドル相場への影響は限定的だと思われる。ブロックRBA総裁は先週、「価格上昇がCPI項目の広範囲にわたり、インフレがますます国内主導、需要主導になっている」として、金利がしばらく高止まる可能性が高いことを改めて示唆していた。

(山下)
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