株式明日の戦略-不安定ながらも週間では大幅高、来週は日銀会合に注目が集まる

 15日の日経平均は大幅反発。終値は284円高の32970円。米国株高を好感して上昇スタート。米国の長期金利低下やSOX指数の大幅高を受けて、半導体株の一角に強い動きが見られた。また、ドル円が比較的落ち着いたことで、前日円高を理由に売り込まれた自動車株に見直し買いが入った。序盤では買いが買いを呼ぶ流れとなり、開始早々に33000円台に到達。その後、400円超上昇して33100円台に乗せる場面もあった。後場に入ると上昇一服感が出てきて、じわじわと上げ幅を縮めていった。それでも32900円を割り込んだところでは改めての買いが入り、終盤にかけては盛り返した。新興銘柄が強く、グロース250指数が2%を超える上昇となった。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆9500億円と商いは膨らんだ。業種別では海運、鉄鋼、鉱業などが上昇した一方、水産・農林、保険、銀行などが下落した。大リーグの大谷翔平選手とブランドアンバサダー契約を結んだと報じられたディップ<2379.T>が大幅上昇。半面、今期の減益・減配計画が嫌気されたのむら産業<7131.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり961/値下がり666。アドバンテストや信越化学が大幅高。商船三井が7%台の上昇となるなど、海運大手3社が騰勢を強めた。主力どころでは、ソニーG、キーエンス、ソフトバンクGなどの動きも良かった。軒並み高となった自動車株では、SUBARUやマツダが大幅高。1Qが大幅な増収増益となったビジョナルが急伸した。

 一方、米国の長期金利低下を嫌気して銀行株が弱く、三井住友が全市場の売買代金2位となって3%を超える下落。半導体株は強く買われた銘柄もあった一方、ディスコやレーザーテックは下落した。東電HDが大幅安となって4日続落。山崎製パン、日清製粉G、森永乳業など食品株に大きく値を崩すものが多かった。上期は大幅増益となったものの、市場の期待には届かなかったANYCOLORが急落した。

 本日、スタンダード市場に新規上場した魁力屋は公開価格を大きく上回る初値をつけた一方、グロース市場に新規上場したS&Jは公開価格割れからのスタートとなった。そして、どちらも終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は大幅高。足元で半導体株、自動車株、銀行株のボラティリティが高まっており、1日レベルでは出たとこ勝負のような相場が続いている。きょうはきのうの大幅安の警戒が残るとみていたが、何事もなかったかのように上に値幅が出た。ドル円は基調的には円高が続いていても、そのスピードが弱まりさえすればきょうのように日本株は強く買われる。今週は週を通して不安定な動きが続いたが、終わってみれば4勝1敗で週間では600円近く上昇した。週初からギャップアップスタートとなったことで、先週割り込んだ26週線(32410円、15日以下同じ)や13週線(32327円)は一度も下回らなかった。2023年もあとまるまる2週間を残すのみとなる。きょうの終値は32970円。年初来高値の33753円(7/3)を捉えることができるかに注目したい。


【来週の見通し】
 堅調か。18日~19日に開催される日銀金融政策決定会合が注目イベント。政策修正や変更があればマーケットは多少は荒れるだろう。ただ、直近で植田総裁の発言を受けて急速に円高が進行したこともあり、何かあるかもしれないという警戒はある程度共有されている。今週の日本株が米国株に比べて見劣りしたのも、先に日銀会合が控えていたことが大きかったと思われる。そのため、日銀会合に関しては、ネガティブな材料には耐性を示し、無風通過であったり、ポジティブな材料が出てきた場合には、強い買いが入ると予想する。米国では経済指標の発表が多いが、今週FOMCを波乱なく通過したことで、長期金利は上がりづらくなると思われる。米金利の低下基調が続けば、ダウ平均の史上最高値更新基調も継続する公算が大きく、S&P500の史上最高値更新への期待も高まる。日本株には為替がかく乱要因にはなるが、日銀会合通過後はドル円の値動きも落ち着いてくるだろう。米国株の先高期待を支えにしっかりとした動きが続くと予想する。

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