東京為替見通し=ドル円、151円への買い仕掛けと円買い介入の可能性に要警戒か

 28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時上昇した局面で150.85円まで上昇したものの、利回り低下で伸び悩んだ。ユーロドルは欧州序盤の安値1.0797ドルから、独長期金利の上昇や独DAXが連日で史上最高値を更新したことで1.0846ドル付近まで反発した。ユーロ円はドル円の上昇やユーロドルの買い戻しにつれて163.41円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、月末で今夜の米1月PCEデフレーターの発表を控えて動きづらい中、151円への買い仕掛けと本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

 これまでドル円の151円台乗せを防戦してきたバリアオプションが満期を迎えたことで、151円への買い仕掛けの可能性を警戒しておきたい。ドル円の今年の150.80円台は、2月13日の150.89円、14日の150.83円、26日の150.84円、そして昨日28日の150.85円までであり、151.00円付近の売り圧力が上値を抑える展開が続いてきた。

 ドル円は中期的な「ダブル・トップ(151.95円・151.91円)」から、151円台に乗せた後に反落して「トリプル・トップ」を形成するのか、それとも続伸していくのかの分岐点に迫りつつある。
 ドル円が151円台に乗せてきた場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒することになる。

 神田財務官は、ドル売り・円買い介入の条件として、投機的な円売り圧力の高まりやボラティリティーの上昇を挙げている。投機筋の円売りポジションを示唆するIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円売り持ち高は、2月20日時点で120778枚まで増加しており、円買い介入が実施された2022年10月21日(高値151.95円)時点での円売り持ち高を上回っている。また、ボラティリティーの上昇を反映し、2022年秋の円買い介入の目安となっていたボリンジャー・バンドの+2σは151.90円台に位置している。
 ちなみに、昨年11月13日にドル円が151.91円の高値を付けた頃のIMMの円売り持ち高は130249枚だったが、12月7日の植田日銀総裁のチャレンジング発言で140.25円(12月28日)まで反落している。
 神田財務官は先ほど「行き過ぎた為替の変動には適切に対応するため、緊張感をもってみている」と述べたが、介入が実施される可能性がある発言「あらゆる措置」「断固たる措置」はまだ聞かれていない。

 今夜発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米1月PCEデフレーターは前年比+2.4%と予想されており、昨年12月の同比+2.6%からの伸び率鈍化が見込まれている。米国1月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の構成要素の一部は、PCEデフレーターの算出に使われており、CPIやPPIと同様に下げ止まる可能性もあることから、上振れの可能性には警戒しておきたい。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、PCEデフレーターが予想通りならば、6月FOMC、予想に反して上振れていた場合は、7月以降に先送りされる可能性が高まることになり、ドル買い要因となる。


(山下)
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