NYマーケットダイジェスト・10日 米CPI上振れで金利上昇・株安・ドル高

(10日終値)
ドル・円相場:1ドル=153.16円(前営業日比△1.40円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.54円(▲0.26円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0743ドル(▲0.0114ドル)
ダウ工業株30種平均:38461.51ドル(▲422.16ドル)
ナスダック総合株価指数:16170.36(▲136.28)
10年物米国債利回り:4.54%(△0.18%)
WTI原油先物5月限:1バレル=86.21ドル(△0.98ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=2348.4ドル(▲14.0ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は反発。米労働省が発表した3月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.4%/前年比3.5%と予想の前月比0.3%/前年比3.4%を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数も前月比0.4%/前年比3.8%と予想の前月比0.3%/前年比3.7%より強い内容となった。米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まると、全般ドル買いが優勢となり、節目の152.00円や153.00円を突破。目先のストップロスを断続的に誘発し、一時153.24円と1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。米財務省が実施した米10年債入札が「不調」に終わり、米長期金利が上昇幅を拡大したこともドル買いを促した。
 なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.5660%前後と昨年11月14日以来の高水準を記録した。

・ユーロドルは下落。3月米CPIの上振れをきっかけに米長期金利が急伸すると全般ドル買いが活発化。1時30分過ぎ一時1.0729ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時105.30と昨年11月14日以来約5カ月ぶりの高値を付けた。
 ただ、2日の安値1.0725ドルがサポートとして働くと1.0754ドル付近まで下げ渋る場面があった。

・ユーロ円は続落。米CPI発表後にユーロドルが下落すると円買い・ユーロ売りが先行。22時前に一時164.03円と日通し安値を付けた。ただ、そのあとはドル相場となったため、ユーロ円自体は方向感に乏しい展開となった。

・米ドルカナダドルは一時1.3703カナダドルと昨年11月24日以来の高値を付けた。カナダ銀行(BOC)はこの日、市場予想通り政策金利を5.00%に据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレ率は2025年に中銀の目標に達すると予想」「物価安定を回復するという確固たる決意を維持」との見解を示した。ただ、マックレムBOC総裁が会見で「6月利下げは可能性の範囲内」「予想通りの展開になれば、利下げが適切になるだろう」などと発言すると、米ドルが全面高となる中でカナダドル売りも出た。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。3月米CPIが予想を上回ると、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まり株売りが広がった。指数は一時570ドル超下落する場面があった。「イランまたはその代理機関によるイスラエルへのミサイル攻撃が差し迫っている」との一部報道を受けて、中東情勢への警戒感が高まったことも相場の重し。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落。米金利上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが出た。

・米国債券相場で長期ゾーンは大幅反落。3月米CPIの上振れをきっかけに、FRBの利下げ開始が遅れるとの見方が一段と強まると債券売りが広がった。10年債入札が「低調」と受け止められたことも相場の重しとなり、利回りは一時4.5660%前後と昨年11月14日以来の高水準を付けた。

・原油先物相場は3日ぶりに反発。米CPIがヘッドラインとコアともに予想を上回ると為替市場がドル買いに反応し、ドルで取引される原油先物は割高感から徐々に上値が重くなった。その後発表された米エネルギー省(EIA)週間石油在庫が、前週や市場予想を上回る積み増しとなると、一時前日比でマイナス圏に沈んだ。しかし、「イランまたはその代理機関によるイスラエルへのミサイル攻撃が差し迫っている」との一部報道を受けると、中東情勢の緊張の高まりが再燃し一転反発して引けた。

・金先物相場は4日ぶりに反落。米CPIがヘッドラインとコアともに予想を上振れると、米金利の上昇やドル高に伴い金先物は4日ぶりに弱含んだ。もっとも、アジア中銀による買い意欲が継続されているとの話もあることで、下げ幅は限られた。

(中村)
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