ロンドン為替見通し=欧米摩擦拡大がユーロの重し、英CPI・RPIに要注目

 本日の欧州時間でも、ウクライナとロシアの戦争をめぐる対応が市場の注目となりそうだ。

 昨日発表された欧州圏(独・ユーロ圏)の2月ZEW景況感指数に対して市場の反応が薄かったことを考えると、本日の12月ユーロ圏経常収支でユーロが動意づくことを期待するのは難しい。よって本日も米国勢が参入するまでは、引き続きウクライナ情勢が市場の注目になる。

 昨日サウジアラビアのリヤドで行われた米露間の高官会談は4時間半にも及んだものの、首脳会談の日程などは決まらなかった。ただ、ルビオ米国務長官は、「米国とロシアはウクライナ戦争の終結を交渉するために高官チームを任命し、外交ルートの再構築に取り組む」と述べている。トランプ米大統領も「2月末までにプーチン露大統領と会談するだろう」と18日午後(日本時間19日早朝)の会見で発言した。

 更にトランプ大統領は、ロシアが主張しているように、ウクライナで新たな選挙の実施に前向きな姿勢を示した。そのうえで同大統領は「ウクライナの指導者は、支持率が4パーセントにまで落ち込んでいる」と根拠のない発言し、ウクライナのゼレンスキー大統領を非難。ここ最近の米国側の主張はロシアを擁護するものが多く、仮に米露間の交渉が進んだ場合でもウクライナを含め欧州圏が停戦協議に同意することは考えにくい。むしろ欧州と米国の摩擦の拡大になり、ユーロの重しになる可能性が高そうだ。

 なおポンドは昨日、英国の雇用統計後に買い戻された。本日は1月消費者物価指数(CPI)と同月小売売上高(RPI)が序盤に発表され、結果次第ではポンド相場の動意に繋がるか。CPIは、ヘッドライン前年比が12月2.5%増から2.8%増、コア指数も3.2%から3.7%増へと加速予想。RPIは前年比では前回3.5%増から3.7%増へ上昇予想だが、前月比では0.3%増から0.1%減へと低下見込み。

 イングランド銀行(BOE)は2月の金融政策委員会(MPC)で25ベーシスポイント(bp)利下げを決定。ベイリーBOE総裁は昨日も「ディスインフレ傾向が続いている」と講演で述べ、追加利下げの期待も高めている。総裁は英国が弱い経済環境に直面していると懸念を表明しており、CPIとRPIがともに予想から下振れた場合には、再利下げ期待が一気に強まることになりそうだ。

 想定レンジ上限
 ・ユーロドル:昨日高値1.0486ドルを目先のめどとし、超えると1月27日につけた年初来高値1.0533ドル。
 ・ポンドドル:昨年12月19日高値1.2667ドル。

 想定レンジ下限
 ・ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.0397ドル。その下は同・基準線1.0337ドル。
 ・ポンドドル:日足一目均衡表・雲の上限1.2574ドルを意識し、割り込むと同・転換線1.2484ドル。

(松井)
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