週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、週末の総選挙に注目

◆豪ドル、週末の豪総選挙に注目
◆豪ドル、米中関税交渉の進展で上下も
◆ZAR、VAT引き上げ撤回で750億ZARの税収不足の解消策に注目

予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.60-7.95円

5月5日週の展望
 豪ドルは、国内要因では総選挙、国外要因では引き続き米国の関税政策に注目。明日3日に行われる豪州総選挙の世論調査では、アルバニージ首相率いる中道左派の与党・労働党の優位が伝わっている。3年にわたる持続的なインフレや高金利、住宅危機による生活費高騰への懸念が最大の争点となっている。ただ、野党を率いるダットン自由党党首が、トランプ米大統領寄りの姿勢を見せていることが自由党の支持率を押し下げる結果になっている。与党の優位は変わらないだろうが、2019年に行われた総選挙では劣勢が伝わっていた自由党が「奇跡」と言われる勝利を収めたこともあり予断は許さない。また、有権者が第3政党に分散するという混乱要因が起きる可能性もある。与党が勝利を収めた場合でも、単独過半数を獲得できるかに注目が集まる。

 トランプ政権の関税については、引き続き二転三転していることで、来週も豪ドルをかく乱する要因だ。豪州は対米赤字を計上していることもあり、米国からの圧力は弱い。ただ、豪ドルはリスクセンチメントに敏感なことから、米中の関税交渉の動向に連れて動意づくことになりそうだ。トランプ米大統領がトリプル安を避け、対中関税引き下げを示唆しているが、中国は完全に追加関税が撤廃されるまでは交渉のテーブルにつかない可能性が高い。中国は欧州連合(EU)やBRICS諸国との通商交渉が進んでいるが、米国の交渉は難航している。チキンレースという意味では、米国が圧倒的な不利な状況下でトランプ政権がどのような対応をとるかが注目だろう。

 来週は豪州国内では、6日に3月住宅許可件数が発表される。ニュージーランドからは7日に1-3月期雇用統計、8日にNZ政府による9カ月ファイナンシャルレポートが公表予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はレンジ取引になりそうだ。国内情勢では付加価値税(VAT)引き上げの撤回により生じた750億ZARの予算不足をどのように埋められるのかが注目。VAT引き上げ撤回で民主同盟(DA)の国民統一政府(GNU)脱退は回避されたが、予算不足を解決するのは容易ではない。ゴドンワナ南ア財務相は21日に新たな予算案を発表する予定だが、事前に詳細が出ることもあり、来週から注意が必要だ。国外要因では引き続き関税交渉に注目。南アと米国間では交渉が進展することはないだろうが、米中間の交渉進展次第ではZARも影響を受けるだろう。なお、王毅中国外相はBRICS諸国に対し、米国の関税脅威に断固として対抗するよう促し、屈服すれば米国を勢いづかせるだけだと警告している。

4月28日週の回顧
 豪ドルは対円では堅調、対ドルでは横ばいだった。1-3月期の豪消費者物価指数(CPI)がトリム平均値を含め市場予想を上回ると豪ドルが支えられる場面もあった。ただ、米国の関税政策が不透明なこともあり、大きなトレンドを作る動きにはならなかった。ZARは月末を前に実需の動きでドル売り・ZAR買いが進行。週後半は日銀の低金利政策維持で対円では7.85円まで上昇した。(了)

(執筆:5月2日、9:00)
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