東京為替見通し=ドル円、東京休場の中で昨日同様に台湾ドルの動向に要警戒か

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、143.54円まで続落した後、4月米ISM非製造業指数が51.6と予想の50.2を上回ったことで144.24円付近まで下げ幅を縮めた。ユーロドルは1.1365ドルまで上昇した後、予想を上回る4月米ISM非製造業指数を受けて1.1297ドル付近まで下押しした。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場のため動きづらい展開の中、昨日同様に台湾ドル(TWD)の動向を注視しながら、今夜からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を待つ展開が予想される。

 昨日は、東京、中国、香港市場が休場で閑散取引の中、台湾ドル(TWD)が米国との通商交渉での通貨協定(米ドル安・台湾ドル高)への警戒感から5%強上昇し、円買いに波及したことで本日も警戒しておきたい。

 FOMCでは、米4月雇用統計(非農業部門雇用者数+17.7万人、失業率4.2%)を受けて、ほぼ政策金利の据え置きが見込まれ、さらに、6月のFOMCでも雇用統計発表前の利下げ観測が後退している。

 IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、先週4月29日時点(※NY終値:142.33円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。その後、ドル円は、5月1日の日銀金融政策決定会合でのハト派的据え置きで、145円台後半まで上昇しており、一部手仕舞われた可能性があるため、今週末の商品先物取引委員会(CFTC)の発表を待ちたい。

 シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景は以下の通りと思われるが、現状は、材料としてはやや弱まっている。
1)日銀の追加利上げ観測
2)FOMCでの追加利下げ観測
3)トランプ米政権によるドル安・円高誘導策(プラザ合意II、マールアラーゴ合意)
 1)は、先週の日銀金融政策決定会合で、物価見通しが下方修正され、「賃金と物価の好循環」という文言が削除というハト派的な据え置きとなったことで、後退している。
 2)は、米4月雇用統計を受けて、年4回の利下げ見通しが3回程度まで減っていることで、やや後退している。
 3)は、トランプ米大統領やベッセント米財務長官は円安を牽制する発言を繰り返しているものの、7月8日に90日間の猶予期間が切れる相互関税交渉の結果待ちとなっている。

 また、米中の関税交渉が進展するのではないかとの期待感も円安要因となっており、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
 5月2日の時点では、中国商務省報道官が、米国との通商協議の可能性を現在検討している、と述べ、「誠意」を示すよう米国に促した。また、中国は、約400億ドルの米国製品について、公式発表なしに関税の適用除外を開始した。さらに、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、中国が通商交渉の開始に向けて、米国側に合成麻薬フェンタニルに関して提案を行うことを検討していると報じた。
 しかし、昨日は、トランプ米大統領が「中国に関する最優先事項は公正な取引を確保すること」と述べつつも、「中国は米国を食い物にしている」と述べたことで、中国側が求めていた「誠意」が示されなかったことが米中関税交渉への警戒感を高めた。

(山下)
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