ロンドン為替見通し=英中銀MPC議事要旨、英米貿易合意、EUの対米報復関税リストに要注目か

 本日のロンドン為替市場のポンドドルは、利下げが見込まれているイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の議事要旨や英米貿易合意内容に注目し、ユーロドルは欧州連合(EU)による対米報復関税リストに対するトランプ米政権の反応に注目する展開となる。

 イングランド銀行MPCに関しては、市場は、政策金利0.25%の利下げをほぼ織り込んでいるため、昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)のように「不確実性(uncertainty)」を理由に据え置きだった場合は、サプライズとなる。
 英国では4月から家計向けの光熱費と水道料金が値上がりしており、社会保障費の雇用主負担の増加や賃金上昇もインフレ押し上げ要因となる。さらに、トランプ関税による物価上昇への警戒感もあり、BOEは難しい対応を迫られている。

 しかし、国際通貨基金(IMF)が、トランプ関税の影響で今年の英国の成長率が急激に下振れるリスクを指摘し、ベイリーBOE総裁は「経済成長に対するリスクを極めて重大に受け止めなければならない」と述べていたことで、利下げはほぼ既定路線だと思われる。
 MPC議事要旨やベイリーBOE総裁の会見で、今後のBOEの金融政策を見極めていくことになる。

 また、ニューヨーク・タイムズ紙は、米国が英国との貿易協定を発表すると報じており、要注目となる。

 欧州委員会は週内の協議再開を目指し、米側に貿易・非関税障壁の削減や米国への投資促進などが含まれた提案文書を提示する予定と報じられている。
 EUは、米国との貿易摩擦緩和を目指す協議が失敗に終わった場合、米ボーイング製の航空機や米国製自動車に関税を課す提案を行う方針だが、本日、報復関税の対象となる物品のリストを公開する予定、と報じられている。

 EUの報復関税リストの内容次第では、欧米通商協議が難航する可能性が高まるため、トランプ米政権の反応にも警戒しておきたい。

 トランプ米大統領は、本日記者会見を開き、トレード・ディールに関する報告を予定している。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1399ドル(4/30高値)
・ユーロ円:163.12円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3402ドル(5/6高値)
・ポンド円:192.70円(日足一目均衡表・雲の上限)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1189ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:161.47円(日足一目均衡表・基準線)
・ポンドドル:1.3077ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:190.00円(4/30安値)



(山下)
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