NY為替見通し=引き続き関税がらみの報道に注目、経済指標は米CPIが発表予定

 本日のNY時間では、引き続き関税に関する報道や発言で上下することになりそうだ。また、経済指標では4月の消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。

 昨日の日本時間16時に、米中の共同声明で両国が大幅な関税引き下げ(米国は中国製品への関税を90日間145%から30%へ、中国は米製品への関税を125%から10%へ)に合意したことが伝わって以後、ドルは堅調に推移している。米国にとって本丸と言われる巨額貿易赤字を記録している中国に対して、いとも簡単に関税を大幅に引き下げたことは市場にとってはサプライズだったことで、ドルの買い遅れている市場参加者が下落局面では買い支えることになるだろう。

 この関税引き下げについて、中国ソーシャルメディアは「大勝利」と報じているが、ホワイトハウスも声明で「この貿易協定は米国にとっての勝利であり、米国民に利益をもたらす協定を確保する上でトランプ大統領の比類のない専門知識を証明するものだ」と述べた。
 ただ、今回の合意では米国の対中赤字減少や、トランプ大統領が目指す「米国への製造業回帰」などの目標は達成することはできず、トランプ大統領がこの結果を納得しているのかは懐疑的だ。米トリプル安を懸念したベッセント米財務長官などの政権良識派が手打ちにしただけの可能性もあり、大統領の今後の見解が注目される。また、関税の圧力よりも為替による貿易不均衡解消を狙うとの予想もあり、その場合は本日加藤財務相が「来週のG7会合の場で為替協議を検討」と発言したことで、20日から22日に行われるカナダでのG7がより注目されることになりそうだ。

 経済指標では、4月の米CPIに注目。3月はヘッドラインCPIは前年比で昨年9月以来となる2.4%へ、前月比では-0.1%となり2020年5月以来の低い水準となった。4月はそれぞれ+2.4%と+0.3%予想となっている。低位安定した結果になった場合はトランプ大統領から再び米連邦準備理事会(FRB)へ利下げを催促するような発言が出てくる可能性がありそうだ。なお、コア指数は前年比+2.8%と前月比+0.3%予想になっている。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、12日高値148.65円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、昨日の米中関税引き下げ発表前の高値146.28円。


(松井)
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