NY為替見通し=ドル円、重い地合いのなか米PPIや小売売上高などに注目

 来週に日米財務相協議を控えるなか円安是正への警戒感が再燃し、ドル円の重い動きが続いている。トランプ米政権がアジア諸国を中心に対米貿易黒字国への為替是正を求めるのではないかとの懸念が根強いなか、昨日は「米国と韓国が5月初めに為替政策について協議を実施」したことが明らかになり、円買い圧力が高まっている。

 ドル円に売り圧力が強いなか、本日はNYタイムで4月米卸売物価指数(PPI)や4月米小売売上高など複数の注目指標の発表が予定されている。ドル円はいったん日足一目均衡表・転換線(本日 145.51円)近辺で下げ渋っているが、結果次第ではドル円が下げ基調を加速させる可能性がある。PPIと小売売上高は低調な内容になると見込まれているが、予想以上に弱い結果となれば、米景気減速への警戒感が強まりそうだ。米中合意で市場の悲観的見方は緩んだが、トランプ米政権の関税策は成長の減速、インフレの上昇につながると消費者や企業の警戒感は強い。

 なお、NYタイムではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やバーFRB理事らに発言機会があり、その内容にも注目したい。トランプ米大統領による利下げ要請のトーンが強まっているなか、パウエルFRB議長が追加利下げに慎重な姿勢を改めて示すかどうかに注目。

 本日もトランプ米大統領の「インドは米国に関税ゼロの取引を提案した」との発言が伝わったが、市場の反応は鈍い。成果をアピールしようとしているが、市場は冷静で関税の不確実性への警戒感は根強い。また、トランプ氏の発言の信憑性が低く、市場は半信半疑の目線で見ている。前日も同氏の「中国は完全に市場を開放した」との発言が伝わっているが、そんな話を誰も信用しないだろう。トランプ大統領は関税方針を簡単に諦めることはないと想定され、関税をめぐる不確実性が続く限り市場のリスクオンムードが一気に高まることは望めないか。

・想定レンジ上限
 ドル円、本日これまでの高値146.75円や昨日NYタイムでの戻り高値147.11円近辺が上値めど。

・想定レンジ下限
 ドル円、本日これまでの安値145.49円や9日の安値144.83円が下値めど。

(金)
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