週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英インフレや景気指標に注目
◆ポンド、英インフレや景気指標に注目
◆加ドル、CPIと小売売上高が相場の材料に
◆日米財務相会談、「円安是正」についての議論されるかに注視
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 102.50-106.50円
5月19日週の展望
来週は20日から22日までカナダ西部バンフで先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。そこで加藤財務相がベッセント米財務長官と会談する見込みとされ、市場に思惑が燻る「円安是正についての議論」が実際に行われるのかが、クロス円にも影響するだろう。
英国内からは、週半ば以降に発表されるインフレデータや景気指標が材料視されそうだ。英消費者物価指数(CPI)は前年比2%台で減速基調が続いていたが、21日発表の4月分は「電気・ガス・水道料金の値上げと雇用主への増税」で加速が見込まれている。今週発表された英雇用データでは1-3月の週平均賃金が減速したものの、伸び率は5%台で高止まりしていた。5月の英中銀会合後、複数の当局者から「賃金上昇率の高止まり」を指摘する声が聞かれている。インフレ期待の上昇も警戒されつつあるなか、今回のCPIが想定以上に上振れすれば、「年末までに英中銀は2回の追加利下げ」という市場の織り込み度が後退するだろう。
22日には英製造業とサービス部門の5月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。前月分の製造業PMIは改定値で上方修正され、底打ち感が出始めた。4月サービス部門改定値も景況判断の境目50に迫っている。今回で、英米貿易協定を受けたセンチメント改善の流れが強化されるか注目したい。また週末には、前回強かった英小売売上高の4月分が発表される。
カナダでは、カーニー首相が先月の総選挙勝利を受けて新内閣を立ち上げた。閣僚の半数以上が初入閣だったものの、重要ポストである財務相はシャンパーニュが続投、国際貿易相として対米交渉を担っていたルブラン氏は、カナダ・米国貿易担当相に就任した。新内閣が今後、トランプ政権とどのような関係性を構築していくのかが注視される。カナダ経済が、隣国であり世界最大の経済大国である米国への依存から脱却できるか、カーニー首相の手腕が問われている。
カナダは来週、19日がビクトリアデーで祝日、経済指標は20日に4月CPI、23日には3月小売売上高が発表予定。前月のCPIは前年比で予想を下回り、2.3%まで減速した。もっとも、カナダ中銀が注視するCPI中央値やトリムは高止まり傾向。市場は、来月の中銀会合で0.25%利下げを見込んでいるが、コア指数の結果次第では市場の気迷いに繋がるかもしれない。3月小売売上高は、総合で2カ月続いた前月比マイナスから抜け出せるかがポイントとなるだろう。
5月12日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で買い先行。スイスで行われた閣僚級の米中貿易交渉が合意に達し、リスク志向ムードが広がった。ポンド円は1月初旬以来の高値196.41円、加ドル円が106円前半まで値を上げた。もっとも、一巡後はドル円の失速につれて売り戻しが優勢となり、それぞれ193円半ばと104円前後まで週の上げ幅を消す動きとなった。
一方で対ドルでは売り優勢で始まり、ポンドは1.31ドル半ば、加ドルが1.40加ドル前半までドル高に傾いた。ただ一巡後に切り返すと、それぞれ1.33ドル半ば、1.39加ドル付近まで値を戻す場面があった。(了)
(執筆:5月16日、9:00)
◆加ドル、CPIと小売売上高が相場の材料に
◆日米財務相会談、「円安是正」についての議論されるかに注視
予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円
加ドル円 102.50-106.50円
5月19日週の展望
来週は20日から22日までカナダ西部バンフで先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。そこで加藤財務相がベッセント米財務長官と会談する見込みとされ、市場に思惑が燻る「円安是正についての議論」が実際に行われるのかが、クロス円にも影響するだろう。
英国内からは、週半ば以降に発表されるインフレデータや景気指標が材料視されそうだ。英消費者物価指数(CPI)は前年比2%台で減速基調が続いていたが、21日発表の4月分は「電気・ガス・水道料金の値上げと雇用主への増税」で加速が見込まれている。今週発表された英雇用データでは1-3月の週平均賃金が減速したものの、伸び率は5%台で高止まりしていた。5月の英中銀会合後、複数の当局者から「賃金上昇率の高止まり」を指摘する声が聞かれている。インフレ期待の上昇も警戒されつつあるなか、今回のCPIが想定以上に上振れすれば、「年末までに英中銀は2回の追加利下げ」という市場の織り込み度が後退するだろう。
22日には英製造業とサービス部門の5月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。前月分の製造業PMIは改定値で上方修正され、底打ち感が出始めた。4月サービス部門改定値も景況判断の境目50に迫っている。今回で、英米貿易協定を受けたセンチメント改善の流れが強化されるか注目したい。また週末には、前回強かった英小売売上高の4月分が発表される。
カナダでは、カーニー首相が先月の総選挙勝利を受けて新内閣を立ち上げた。閣僚の半数以上が初入閣だったものの、重要ポストである財務相はシャンパーニュが続投、国際貿易相として対米交渉を担っていたルブラン氏は、カナダ・米国貿易担当相に就任した。新内閣が今後、トランプ政権とどのような関係性を構築していくのかが注視される。カナダ経済が、隣国であり世界最大の経済大国である米国への依存から脱却できるか、カーニー首相の手腕が問われている。
カナダは来週、19日がビクトリアデーで祝日、経済指標は20日に4月CPI、23日には3月小売売上高が発表予定。前月のCPIは前年比で予想を下回り、2.3%まで減速した。もっとも、カナダ中銀が注視するCPI中央値やトリムは高止まり傾向。市場は、来月の中銀会合で0.25%利下げを見込んでいるが、コア指数の結果次第では市場の気迷いに繋がるかもしれない。3月小売売上高は、総合で2カ月続いた前月比マイナスから抜け出せるかがポイントとなるだろう。
5月12日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で買い先行。スイスで行われた閣僚級の米中貿易交渉が合意に達し、リスク志向ムードが広がった。ポンド円は1月初旬以来の高値196.41円、加ドル円が106円前半まで値を上げた。もっとも、一巡後はドル円の失速につれて売り戻しが優勢となり、それぞれ193円半ばと104円前後まで週の上げ幅を消す動きとなった。
一方で対ドルでは売り優勢で始まり、ポンドは1.31ドル半ば、加ドルが1.40加ドル前半までドル高に傾いた。ただ一巡後に切り返すと、それぞれ1.33ドル半ば、1.39加ドル付近まで値を戻す場面があった。(了)
(執筆:5月16日、9:00)