週間為替展望(ドル/ユーロ)-第3回日米通商交渉に警戒

◆ドル円、日米財務相会談での円安是正議論への思惑高まる
◆ドル円、日米貿易協定の見直しにも警戒
◆ユーロドル、欧米交渉の続報やユーロ圏指標に注目

予想レンジ
ドル円   143.00-148.50円
ユーロドル 1.0900-1.1300ドル

5月19日週の展望
 ドル円は、日米通商交渉を控えて神経質な展開となるだろう。「第3回目となる日米関税交渉を行うため、赤沢経済再生相が来週後半にも訪米を検討している」との報道が伝わっており、同時に加藤財務相もベッセント財務長官と会談する予定となっている。「5日に米財務次官補とウォン相場について協議した」と韓国企画財政省報道官が14日に明らかにしたことで、日米財務相会談で「円安是正について議論されるのでは」との思惑が広がっている。そのため、週後半までドル円は上値が重くなることが想定される。ただ、思惑が先行しているだけに、踏み込んだ議論がされていないことが分かれば、逆に大きく買い戻されるリスクがあることには十分警戒すべきだろう。

 為替についての議論の他にも注意すべき点としては、米国側が日米貿易協定の見直しを視野に入れている可能性があることだろう。第1次トランプ政権時だった2020年1月に牛肉など米国産農産品の関税が引き下げられたが、米国側はこの点について見直しを要求する必要性を示しているという。現時点で日本側は協定見直しについては想定しておらず、事実ならば協議が難航しそうだ。

 来週は米国では22日に5月購買担当者景気指数(PMI)速報値や4月中古住宅販売件数、23日に4月新築住宅販売件数と指標自体は少ないが、PMI速報値については直近の景況指数の為、予想と乖離すればドルは反応しやすいだろう。

 ユーロドルは今週、欧米関税交渉に関する新たな情報は伝わっておらず、新規の手掛かり材料に乏しいことから方向感が定まらなかった。欧米交渉に絡んだ続報を待ちつつ、経済指標としては、22日に各国の5月PMI速報値や5月IFO企業景況感指数の結果を見極めたい。足元ではユーロ圏の成長鈍化が指摘されており、指標内容次第では6月・7月会合での利下げ観測が一段と高まりそうだ。

5月12日週の回顧
 ドル円は上値が重い。週末に開催された閣僚級の米中貿易協議で進展があったことを受けて買いが先行。「米中両国が関税の大幅な引き下げで合意」との共同声明が明らかになると148.65円まで急伸した。ただ、一巡後は戻り売りが優勢に。日米交渉で円安是正議論への思惑が浮上したことも嫌気され一時145.26円まで売り込まれた。

 ユーロドルは一進一退。ドル円の急騰に伴って1.1065ドルまで下げたが、ドル円が反落すると1.1266ドルまで反発。一方で、一段と買い上げる材料にも乏しく、上値は限られるなど方向感が定まらなかった。(了)
(執筆:5月16日、9:00)
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