株式明日の戦略―売り手不在で後場一段高、グロース株に優しいFOMCとなるか

 27日の日経平均は3日ぶり反発。終値は60円高の27715円。米国株安を受けて売りが先行し、序盤では下げ幅を3桁に拡大。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり683/値下がり1078。レーザーテックが5.5%高、東京エレクトロンが3.1%高、ルネサスが4.6%高と半導体関連が大幅高。日本電産やロームなどハイテクの一角にも強い買いが入った。信越ポリマーや栄研化学が決算を受けて急伸。国交省が鉄道運賃変動制導入に向けた制度設計に入ると報じられたことから、JR東日本やJR東海など鉄道株全般に買いが入った。フィリピンのホテル保有運営企業グループの株式取得を発表したポラリスは、場中値付かずのストップ高比例配分となった。

 一方、キヤノン、富士通ゼネラル、日東電工などは、シマノ同様に上方修正を発表したにもかかわらず好感されず下落。1Q大幅減益のマキタが急落した。韓国子会社の上場延期が伝わったダブルスコープは、前日急騰した反動もあって一時ストップ安となるなど乱高下した。米国で小売株が弱かったことから、ビックカメラ、しまむら、ワークマン、西松屋チェーンなど、専門店系の小売株に大幅安となるものが多く散見された。

 日経平均は3日続伸。FOMCを前に米国株が崩れたため、買い手不在の中で大幅安もあるかと予想したが、不在だったのは買い手よりも売り手であったようだ。値下がり銘柄は多く、半導体株の貢献が大きかったが、その半導体株の値動きがさらに良くなるかどうかを占う意味でも、本日のFOMCの内容が注目される。

 7月FOMCの利上げ幅は0.75%が濃厚で、それ以外なら相場は荒れる可能性が高い。初動反応としては1%なら下落、0.5%なら上昇となるだろう。ただ、1%の場合には先の利上げペースが鈍化する期待が高まる一方、0.5%の場合には深刻なリセッションが意識されるため、その後に初動反応を打ち消すくらいの逆の動きが出てくるかもしれない。なお、0.75%でなかった場合、2会合連続で丁寧なアナウンスがなかったことになるため、FRBに対する信認は大きく低下する。

 これはあくまでイレギュラーなシナリオで、オーソドックスに考えれば利上げ幅は0.75%だろう。次回9月に関する手がかりが得られるかが焦点となるが、この時点で0.75%や1%の可能性を否定するようなハト派的なメッセージがFRBから出てくるとは考えづらい。それでも米国株にしっかりとした動きが見られるかどうか。より具体的に言えば、GAFAMなど主力のグロース株が崩れるのか崩れないのかが焦点となる。アルファベットは決算を発表して時間外では大幅高となっており、米国株がFOMCを無難に消化できれば、その分も上乗せされて強い上昇となる可能性もある。その一方で、米国の長期金利が急上昇するなどしてグロース株に逆風となった場合には、好影響が打ち消される可能性もある。国内でも本日引け後にエムスリーや信越化学などグロース系の注目銘柄が決算を発表している。これらに対する見方がポジティブとなるのかネガティブとなるのかは、日本株全体のセンチメントにも大きな影響を与えるだろう。
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