NY為替見通し=パウエルFRB議長講演に要注目、金利市場はタカ派発言を織り込みつつある

 本日のNY時間はジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が最大の注目。
 
 時計の針を一カ月前に戻すと、7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエルFRB議長の会見では、冒頭でインフレ抑制を強調したことで米金利が上昇し、ドル買いに反応した。しかし、「いずれ利上げペースを緩めるのが適切になる可能性が高い」と述べ、利上げについて慎重な姿勢を示すと米中長期金利が急低下し、ドル安に動いた。

 会見前のドル円は現状の為替水準とほぼ変わらない136.80円台で推移し、米10年債利回りは2.75%前後だった。会見後にドル円は137.46円まで上昇後、136円前半まで売り込まれ、米10年債利回りは2.71%まで一時低下したが2.78%まで戻して引けている。

 上述のように、ドル円はほぼFOMC前後の水準での取引が続いているが、米金利は上げ幅が大きくなっている。その後のFRB高官の相次ぐタカ派発言が、米金利の上昇を導いているだけでなく、本日の会見でもある程度のタカ派発言を期待しているともいえそうだ。
 また、フェドウオッチでは次回9月20-21日のFOMCでの0.50%の利上げ確率は37.0%に低下し、0.75%の利上げ確率は63.0%まで上昇している。一週間前の0.75%の利上げ予想は47.0%、1カ月前は41.2%だったことを考えると、金利市場では概ねタカ派発言を織り込みつつあると言えそうだ。

 この状況を考慮すると、パウエルFRB議長がFOMC後の会見よりもタカ派寄りとなった場合でも、米金利の上昇の反応が鈍くなる可能性には要注意となる。為替市場だけドル買いに過大に反応し、その後米金利の伸びの鈍さを確認し上値も抑えらえる可能性もありそうだ。ドル円を上値掴みするリスクには注意をしておきたい。

 なお、パウエルFRB議長の講演の前に、FRBがインフレ指標として最も注視している一つでもある7月個人消費支出(PCE)が発表される。10日に発表された7月の消費者物価指数(CPI)は8.5%の上昇まで鈍化したが、PCEも鈍化するか否かにより米金利が激しく動き、FRB議長講演前に大相場になる可能性もありそうだ。


・想定レンジ上限
 ドル円の7月22日高値137.96円や節目の138.00円が抵抗帯。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、25日安値136.17円が最初の支え、その下は23日安値135.82円。

(松井)
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