株式明日の戦略-注目イベントを前に大幅高、欧米のタカ派スタンスは織り込んだのか

 8日の日経平均は大幅反発。終値は634円高の28065円。米長期金利の急低下と原油価格の急落を受けて、7日の米国株は大幅高。これを好感して寄り付きから300円超上昇し、高く始まった後も買いが続いた。序盤で原油安を理由に売られていたINPEXなどが持ち直してくると指数の上昇に勢いがつき、前場のうちに上げ幅を500円超に拡大。28000円台を回復した。節目に乗せた後は到達感が出てきて、後場の値動きは落ち着いた。ただ、終盤にはもうひと伸びがあり、600円を超える上昇で取引を終えた。TOPIXは寄り付き直後に安値をつけて高値引けと、棒上げの1日となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9800億円。業種別では精密機器、空運、医薬品などが大幅上昇。鉱業1業種のみが下落しており、石油・石炭や不動産は小幅な上昇にとどまった。アンモニア燃料アンモニア輸送船の基本設計承認を取得したと発表したジャパンエンジンコーポレーション<6016.T>がストップ高。反面、コロナワクチン開発に関するネガティブなリリースなどが強い失望となったアンジェス<4563.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1703/値下がり103。主力銘柄がまんべんなく買われており、キーエンスやNTTが4%を超える上昇。前日大幅安となった日本郵船のほか、HOYA、OLC、日本電産、ダイキンなどが3%を超える上昇となった。国際線の予約が回復しているとの日経報道を材料にJALやANAが大幅高。ハナツアーやアドベンチャーなど旅行関連にも強い動きが見られた。地合いが急改善する中で好決算銘柄が跳ねており、トミタ電機が16%高。ハウテレビジョンは場中値付かずのストップ高比例配分となった。

 一方、原油安を嫌気して石油資源開発が逆行安。三井松島や住石HDなど石炭関連の下げが大きかった。証券会社が投資判断を引き下げた三井不動産が軟調。東京五輪を巡る汚職事件に絡み、東京地検が家宅捜索に入ったと報じられたパーク24が4%を超える下落となった。今期の見通しが物足りないと受け止められたアイモバイルや、下方修正を発表したストリームが大幅安。直近で騰勢を強めていたプレミアアンチエイジングが利益確定売りに押されて7%を超える下落となった。

 日経平均は大幅高。高寄りから上げ幅を広げて、あっさり28000円台を回復した。今晩、欧州と米国ではともにタカ派色の強いメッセージが市場に届けられそうではあるが、その中身を確認する前にかなり強い動きが見られた。ECB理事会やパウエルFRB議長が参加する討論会の内容を織り込んだのか、それとも「あすがどうなろうときょうはとにかく買い」であったのか判断は難しく、今晩の米国株の反応が大きな注目を集める。討論会では9月FOMC(9/20~21)に関する手がかりも出てきそうで、今年残り4カ月弱の方向性を決定づけるような動きが出てくるかもしれない。

 きょうの大幅高(終値:28065円)で、週足では52週線(27807円、8日時点、以下同じ)、13週線(27494円)、26週線(27332円)を上回った状態にある。このままこれらをすべて上回って週を終えれば、8月中旬以降の下げトレンドが終了したとの見方が強まる。あす大幅安となってこれら全部を下回るようだと厳しくなるが、そこまで厳しい下げとならなければ、先々で13週線や26週線はサポートになると期待できる。上への期待を持ちつつ、弱かった場合には27500円辺りまでで売りが止まるかどうかに注目しておきたい。
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