週間為替展望(ドル/ユーロ)-米10月消費者物価指数に注目

◆ドル円、米10月消費者物価指数や11月ミシガン大学指数のインフレ見通しに注目
◆米国中間選挙、バイデン米政権のレームダック化がリスクシナリオ
◆ユーロドル、ユーロ圏9月小売売上高やウクライナ情勢に警戒

予想レンジ
ドル円   145.00-150.00円
ユーロドル 0.9400-0.9950ドル 

11月7日週の展望
 ドル円は、本邦通貨当局による円買い介入に警戒しながら、米国10月の消費者物価指数や11月のミシガン大学消費者信頼感指数でのインフレ見通しを見極めていく展開が予想される。1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今後、利上げ幅は縮小される可能性は高いものの、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が引き上げられた可能性、すなわち、小幅な利上げの回数が増える可能性が示された。

 来週は、米国10月の消費者物価指数は前年比8.1%と予想されており、6月の9.1%、7月の8.5%、8月の8.3%、9月の8.2%からの鈍化傾向が続くことが見込まれている。予想通りに鈍化傾向が確認された場合は、12月FOMCでの0.50%の追加利上げ確率が高まり、ドル円の上値を抑える要因になる。しかし、上昇基調が確認された場合は、12月FOMCでの0.75%の追加利上げ確率が高まることで、ドル円の買い要因になる。ただ、ドル円が強含む局面では、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒が必要だ。本邦通貨当局の9月と10月の円買い介入の金額は、9兆1881億円となった。年初から9月までの貿易赤字は約14.3兆円、そして年末に向けては約20兆円規模に達する見込みであるが、これらのドル買い需給をかなり相殺する可能性があるため、注意しておきたい。黒田日銀総裁は、国会の答弁で「将来的に2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になれば、その前段階でYCCを柔軟化していくことは選択肢」との見解を表明。政策の修正を検討する考えを示した。また、「急激かつ一方的な変動は恐らく投機によるものであり、それに対抗して介入するのはG7やG20でも当然視されている」とも述べている。

 また、8日の米国中間選挙では、上院(民主党50対共和党50)、下院(民主党220対共和党213)で、民主党が敗北する可能性が警戒されている。これまでも、就任1年目の民主党大統領は「トリプルブルー」を謳歌してきたが、中間選挙では、必ず上下院どちらかで敗北して、「ねじれ議会」となってきている。リスクシナリオとしては、共和党が上下両院で多数派となり、バイデン米政権がレームダック化した場合だろう。今後の政策運営が難航することから、ドル売り要因となりそうだ。

 ユーロドルは、インフレ高進と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感が高まる中、ユーロ圏9月の小売売上高やドイツ9月の鉱工業生産を見極めることになる。また、ロシアによるウクライナへの「汚い爆弾」使用の可能性にも、引き続き警戒しておきたい。

10月31日週の回顧
 ドル円は、FOMC声明で「金融引き締めの累積効果が考慮される」ことになり、今後の利上げ幅が縮小される可能性が示唆されたことで、148.85円から145.68円まで下落した。ただ、パウエルFRB議長が「政策金利の最終水準は予想よりも高くなる可能性が高い」と述べたことから148円台半ばまで急反発した。ユーロドルは、0.9976ドルから0.9730ドルまで下落した。(了)
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