東京為替見通し=ドル円は日本の11月貿易赤字、豪ドルは11月雇用統計に要注目か

 14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やパウエルFRB議長の会見を受けて135.99円まで上昇した後、134.81円付近まで反落した。
 ユーロドルは、米長期金利が低下に転じたことで1.0695ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、円安要因である日本の11月貿易赤字を見極めた後、昨晩報道された日銀の金融政策検証の続報に警戒しつつ、米10年債利回りの低下を受けた本邦勢の動向に注目する展開となる。

 昨日のドル円は、「日銀は来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を実施する可能性がある」との一部報道を受けて、一時134.54円まで下落した。来週発表される11月の日本のコア消費者物価指数が4%台に乗せるとの見通しもあることで、来週の日銀金融政策決定会合に向けて続報には警戒しておきたい。

 8時50分に発表される11月貿易統計(通関ベース)の予想は季節調整前が1兆6800億円の赤字、季節調整済が1兆2382億円の赤字と見込まれている。
 今年1月から10月までの貿易赤字は16兆4755億円となり、年間ベースでは20兆円を超すペースとなっており、今年の円安を支える要因となっている。本邦通貨当局は9月と10月に9兆1881億円のドル売り・円買い介入で円安を抑えてきているが、これまでの差額分7兆2874億円にプラスして、11月や12月の貿易赤字を相殺する円買い介入を続けていく必要があるため、今後もドル円の反発局面でのステルス介入(覆面介入)には警戒しておきたい。

 9時30分に発表される11月豪雇用統計の予想は失業率が3.4%、新規雇用者数が+1.90万人と見込まれている。豪準備銀行(RBA)は、将来の利上げの規模とタイミングは、今後のデータとインフレ、労働市場の見通しによって決定する、と言及しており、労働市場の動向が注目されている。10月の雇用統計は失業率が3.4%、新規雇用者数が+3.22万と好結果だったが、11月はやや悪化が見込まれていることで、ネガティブサプライズには警戒しておきたい。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利・経済見通し「ドット・プロット」によると、FRB政策当局者19人の2023年末の政策金利の予想中央値は5.1%となり、9月時点の4.6%から上方修正された。しかし、米10年債利回りは3.48%台で推移しており、来年のリセッション(景気後退)入り、利下げを織り込みつつある。
 米10年債利回りは、10月21日の4.335%、11月8日の4.241%をダブル・トップにした、変則的なヘッド・アンド・ショルダーが完成し、目標値2.78%が点灯している。
 ドル円も10月21日の高値151.95円を頭にしたヘッド・アンド・ショルダーを形成中だが、ネック・ラインである8月2日の安値130.41円にはまだ遠い状況となっている。目先の下値目処は、102.59円から151.95円までの上昇幅の38.2%押しの133.09円となっている。



(山下)
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