週間為替展望(ドル/ユーロ)-1月の米CPIと日銀正副総裁人事に注目

◆ドル円、米国1月のCPIや日銀正副総裁の人事に注目
◆日本の1月貿易赤字額や10-12月期GDPにも注意
◆ユーロドル、今後のECB利上げ幅などを見極める展開

予想レンジ
ドル円 130.00-135.00円
ユーロドル 1.0500-1.1000ドル

2月13日週の展望
 ドル円は、米国1月の消費者物価指数(CPI)でインフレ状況を確認し、日本の1月の貿易赤字で円売り圧力を確認することになる。米国1月のCPIは、前年比6.2%と予想されており、昨年12月の6.5%からの伸び率鈍化の継続が見込まれている。予想通り鈍化していた場合、1月の平均時給の前年比4.4%への鈍化と共に、今年後半のFRBの利下げ観測を台頭させることで、ドル円の上値を抑える要因となる。しかし、米1月雇用統計のようなポジティブサプライズの可能性も警戒されていることから警戒しておきたい。予想通りならば、市場の関心は、米1月雇用統計のポジティブサプライズによるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言よりも、「ディスインフレのプロセスが始まった」というハト派発言のほうにより偏っていく可能性が高い。

 また、日本の1月上中旬の貿易赤字は3兆1452億円となり、昨年同時期の1兆7097億円から84%増加も増加。1月のドル円の下値を支える要因となっている。昨年1月の貿易赤字は2兆1994億円。今年は上中旬だけで既にその数字を上回っており、貿易赤字という実需の円売りがドル円の下値を支える構図を確認することになりそうだ。2022年の貿易赤字は過去最大の19兆9713億円となり、昨年の円安の大きな要因となっていた。

 日銀人事については、雨宮日銀副総裁が次期日銀総裁へ指名されるのか否か、そして、新副総裁に初の女性となる翁氏が指名されるのか否かに注目。雨宮総裁候補は、緩和縮小に消極的なハト派と見られ、翁氏は「金融正常化を少しずつ進めるべき」と述べている通り緩和縮小に積極的なタカ派と目されている。日銀の金融政策見通しに対する不透明感が一段と高まりそうだ。更に、日本の2022年10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率2.3%と予想されており、2四半期ぶりのプラス成長が見込まれている。ただ、前期の▲0.8%からの回復が鈍いことで、日銀の緩和策継続の可能性を高める可能性には警戒しておきたい。

 ユーロドルは、ラガルドECB総裁が3月会合でも0.50%利上げを示唆したものの、「5月以降は0.50%かもしれないし0.25%かもしれない」と述べ、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が3.70%程度になる可能性が高まりつつあることで上値が重い展開が予想される。経済指標では、ユーロ圏12月の鉱工業生産に注目。引き続き、ウクライナ情勢の地政学リスクにも留意しておきたい。

2月6日週の回顧
 ドル円は、「次期日銀総裁に雨宮副総裁が就任を打診された」との一部報道を受けて、大規模金融緩和政策の早期修正観測が後退したことから132.90円まで上昇したが、パウエルFRB議長が再びディスインフレに言及したほか、弱い新規失業保険申請件数を受けて130.35円まで反落した。ただ、米10年債利回りが3.68%まで急伸、131円台後半まで買い戻されている。ユーロドルは、1.0805ドルから1.0669ドルまで下落した後、1.07ドル台まで反発した。(了)

※執筆:2月10日、9:30
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