東京為替見通し=ドル円、ドル買いトレンド変わらずも米3連休前で伸び悩みか

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った1月米卸売物価指数(PPI)を受けて、米10年債利回りが3.87%台まで上昇したことで、134.46円まで上昇した後、NYダウの下落により133.70円付近まで反落した。ユーロドルは1.0655ドルまで下落した。ユーロ円は142.86円まで下落した。


 本日の東京外国為替市場のドル円は、来週20日はニューヨーク市場が休場のため、3連休を控えた米系筋のドル買い持ちポジションの手仕舞いで上値が重い展開が予想される。

 米国1月の消費者物価指数(CPI)に続き、卸売物価指数(PPI)もインフレ鈍化傾向が終わりつつある可能性が示されたことで、米10年債利回りは3.87%台まで上昇し、ドルの買い戻し要因となりつつある。

 ドル円は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方で、ドル高・円安に回帰する可能性が高まりつつある。

 ファンダメンタルズ分析では、次期日銀総裁候補の植田氏が「当面は金融緩和を続ける必要がある」との認識を示したことで、BOJピボット(日銀の利上げ転換)への警戒感が後退しつつある。そして、予想を上回った米国1月の雇用統計、小売売上高、CPIとPPIなども、FEDピボット(FRBの利下げ転換)への警戒感を後退させつつある。さらに、日本の1月の貿易赤字が過去最大を記録したように本邦実需筋の円売りがドル円を下支えしている。
 来週24日の午前8時30分には日本の1月のコア消費者物価指数(予想:前年比+4.2%)が発表され、9時30分からは植田次期日銀総裁候補の衆議院での所信聴取と質疑応答が予定されている。インフレ率+4%台とマイナス金利(▲0.10%)の整合性に対する見解が注目されている。

 ドル円のテクニカル分析では、第3波動(102.29円から151.95円)の半値押し127.23円で第4波動が終了し、ダブル・ボトム(127.23円・128.09円)のネック・ライン131.58円を、窓を空けて上抜けたことで、上昇トレンドが始まった可能性を示唆している。
 一目均衡表では、均衡表が好転(転換線>基準線)、遅行スパンも好転(遅行スパン>26日前の実線)という「二役好転」と雲の中での堅調推移により、買いシグナルが優勢な展開となっている。しかし、雲(下限131.97円・上限137.96円)の中で、下降中の90日移動平均線が上昇中の200日移動平均線を下抜けつつあることには留意しておきたい。
 ボリンジャー・バンドでは、+2シグマを上抜けつつあるものの、上昇トレンドの始まりを示唆するヘッド・フェイクやスクイーズが確認されていない。
 MACD(移動平均収束拡散法)では、1月20日の底値圏で買いシグナルが点灯しており、2月14日にプラス圏に浮上して、買いシグナルが強まっている。


(山下)
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