NYマーケットダイジェスト・16日 米地銀支援で株高・金利上昇・円安(2)

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。ECBが欧米の金融機関の経営不安が高まる中でも、0.50%の大幅利上げに踏み切ったことから、金融システムが不安定化するとの警戒が高まり売りが先行した。指数は一時300ドル超下落した。
 ただ、「複数の米大手銀行は経営危機に陥っている米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援策を検討」との報道をきっかけに、投資家のリスク回避姿勢が後退すると買い戻しが優勢に。取引終盤には「米銀11行は預金の形で計300億ドルの資金支援を実施する」と伝わり、400ドル超上昇する場面があった。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に4日続伸した。

・米国債券相場で長期ゾーンは反落。金融システム不安が根強い中、投資家がリスク回避姿勢を強め相対的に安全資産とされる米国債には買いが先行した。利回りは一時3.3635%前後と2月3日以来の低水準を付けた。ただ、ファースト・リパブリック支援に絡んだ報道が伝わると、米国株相場が一転上昇。投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、米国債には売りが出た。

・原油先物相場は4日ぶりに反発。アジア時間に「クレディ・スイスがスイス中銀から、最大500億スイスフランを借り入れをする」との報道が流れたことで、原油先物は堅調に推移していた。その後、米地銀ファースト・リパブリック・バンクが約36%安まで売られたことなどもあり、金融不安が払しょくできないことでリスク回避の動きとなり、原油先物が売られる局面もあった。しかしながら、複数の米銀が同行への支援策を検討しているとの報道が流れると、株高・債券売りに動き、同行株もプラス圏を回復したことなどが支えとなり、原油先物は4日ぶりに反発して引けた。

・金先物相場は反落。欧米の金融不安から前日比プラス圏で取引される場面もあったが、米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援報道が流れると、市場全体がリスク回避の動きの巻き戻しとなり、金先物も反落して引けた。

(中村)
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