欧州マーケットダイジェスト・21日 株高・ドル高・ポンド安・スイスフラン安

(21日終値:22日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=151.72円(21日15時時点比△0.73円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.74円(▲0.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0858ドル(▲0.0073ドル)
FTSE100種総合株価指数:7882.55(前営業日比△145.17)
ドイツ株式指数(DAX):18179.25(△164.12)
10年物英国債利回り:3.995%(▲0.021%)
10年物独国債利回り:2.405%(▲0.027%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ポンドは全面安。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策金利の据え置きを決めたものの、前回まで0.25%の利上げを主張していた2人の委員が据え置きを支持したことで、結果公表後はポンド売りが進んだ。ポンドドルは一時1.2654ドルと日通し安値を付けたほか、ユーロポンドは0.8580ポンドと日通し高値を更新した。ポンド円も本日安値となる191.88円まで値を下げた。ベイリーBOE総裁が「英国はインフレ退治を巡り勝利への道筋にある」「市場の利下げ見通しは妥当」「行動する前にインフレ率が2%になる必要はない」などと述べ、今後の利下げの可能性を示唆したこともポンド売りを誘った。

・ドルスイスフランは一時0.8994スイスフランと昨年11月14日以来約4カ月ぶりの高値を更新した。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の予想外の利下げを受けたスイスフラン売りと、米金利上昇に伴うドル買いが入った。
 欧米中銀が利下げのタイミングを探りながらも、根強いインフレを踏まえて金融引き締めを続ける中、SNBはいち早く利下げに踏み切った格好だ。

・ドル円はじり高。この日発表された3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数、2月米中古住宅販売件数、2月米景気先行指標総合指数が予想より強い内容となったことを受けて円売り・ドル買いが進行。対欧州通貨中心にドル高が強まった影響も受けて、2時前に一時151.75円まで値を上げた。前日に大幅低下した米2年債利回りが上昇したことも相場の支援材料。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.05まで上昇した。

・ユーロドルは軟調。米金利上昇や米経済指標の上振れをきっかけに全般ドル買いが優勢になると、1時前に一時1.0856ドルと日通し安値を付けた。BOEやSNBの金融政策公表後に、欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まったことも相場の重し。

・ユーロ円は上値が重かった。日本時間夕刻に一時165.34円と日通し高値を付けたものの、前日に付けた2008年8月以来の高値165.35円がレジスタンスとして意識されると失速した。ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方も相場の重しとなり、1時前に164.57円付近まで下押しした。

・トルコリラは上昇。トルコ中銀はこの日、インフレ見通しの悪化を理由に政策金利を5.00%引き上げて50.00%に決めたと発表。声明では「インフレの大幅かつ持続的な悪化が予想されれば一段の引き締めを行う」との考えを示した。市場の金利据え置き予想に反する決定を受けて全般リラ買いが優勢になると、対ドルで31.7576リラ、対円で4.75円まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は大幅に反発し、昨年4月以来の高値で取引を終えた。BOEが本日、市場予想通り政策金利を据え置き、「英CPI伸び率が4-6月に目標の2%を一時的に下回る」との見通しを示したことが好感された。ベイリーBOE総裁が今後の利下げの可能性を示唆したことも株買いを誘った。ハルマやセイジ・グループなど情報技術セクターが買われたほか、HSBCやバークレイズなど金融株が値上がりした。

・フランクフルト株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。BOEやSNBの金融政策公表後に、ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まると、株買いが広がった。個別ではシーメンス・エナジー(6.73%高)やハイデルベルク・マテリアルズ(4.59%高)、SAP(4.05%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は上昇。ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方から、独国債が買われた。

(中村)
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