東京為替見通し=ドル円、10月米PCEデフレーターへの警戒感から上値が重い展開か

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7-9月期米国内総生産(GDP)改定値の上方修正で147.90円まで上昇後、147.08円付近まで反落した。ユーロドルは11月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を下回ったことや米GDP改定値の上振れを受けて1.0960ドルまで下落した。ユーロ円は162.25円を上値に161円半ばまで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される10月の米PCEデフレーターへの警戒感から上値が重い展開が予想される。

 12月12-13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米10月PCEデフレーターは前年比+3.0%と予想されており、9月+3.4%からの伸び率鈍化が見込まれている。

 CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では来年5月のFOMCでの利下げ開始確率が高まっている。さらに米国債券市場でも、FRBが来年5月までに利下げに転じるとの観測が高まっている。もし、今夜発表される10月PCEデフレーターが予想を下回り、2%台まで伸び率が減速していた場合、来年の利下げ開始時期が第1四半期あたりまで前倒しされる可能性が高まることになるか。

 12月FOMCでの景況感の判断材料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)は、消費者が裁量的な支出を控えたために、米経済活動は減速したと指摘していた。また、米感謝祭の翌日、ブラックフライデーの売上高が低調だった模様で、ベージュブックが指摘していた消費者支出への警戒感を裏付けている。

 昨日はタカ派のメスター米クリーブランド連銀総裁が「データに機敏に対応」と述べている。次回FOMCまでの重要なデータは、本日の10月PCEデフレーター、12月8日の11月雇用統計、12日の同月消費者物価指数(CPI)となる。

 ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終5波を示唆する「斜行三角形」を形成中、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」を形成中、短期的には「ダブル・トップ(151.72円・151.91円)」が完成したことで、下値リスクが高まりつつある。

 10時30分に発表される11月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と予想されており、10月の49.5からの改善が見込まれている。リスクシナリオは、予想を下回った場合のリスク回避となるため要注目か。

(山下)
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