東京為替見通し=ドル円、日米金融政策への思惑から堅調推移か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ウォラーFRB理事の発言を受けてFRBの早期利下げ観測が後退し、米長期金利の上昇とともに147.31円まで上昇した。ユーロドルは1.0863ドルまで下落した。ユーロ円は160.15円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から堅調推移が予想される。

 ドル円は、令和6年能登半島地震を受けて日銀の早期マイナス金利解除観測が後退という円売り要因と、ウォラーFRB理事の発言を受けてFRBの早期利下げ観測が後退するというドル買い要因を受けて、147.31円まで上昇し、年初来高値を付けている。
 ドル円は、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した後、昨日は半値戻しの146.08円を上回って147.31円まで上昇し、61.8%戻しの147.46円を射程に入れつつある。一目均衡表でも、雲(下限145.92円・上限146.81円)を上抜けて、三役好転が点灯して買い時代に入りつつある。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の1月9日時点のデータでは、投機筋の主要通貨や新興国通貨に対するドル売り持ち総額は127億ドルとなっており、前週の105億ドルから増加していた。昨年11月半ばの時点では、約100億ドルのドル買い持ちだったことで、約227億ドル規模の途転ドル売りが断行されたことになる。

 ドル売り持ちの背景には、昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された今年3回程度の利下げがあると思われる。さらに、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、今年6回の利下げで、年末のFF金利誘導目標は約4割が3.50-3.75%までの1.75%の利下げが見込まれている。

 現状のドル全面高の展開は、投機筋のドル安相場観に反する動きであるため、彼らの動向には注視していきたい。昨日は主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが一時103.43と昨年12月13日以来約1カ月ぶりの高水準を付けていた。
 1月9日時点のCFTCでの円のネット売り持ちポジションは、55949枚(NY終値:144.48円)となっており、昨年11月14日の130249枚(NY終値:150.37円)から大幅に減少していた。

 11時に発表される10-12月期中国国内総生産(GDP)は、前期比+1.0%、前年比+5.3%と予想されており、7-9月期GDPの前期比+1.3%は下回り、前年比+4.9%は上回ることが見込まれている。12月中国鉱工業生産(予想:前年比+6.6%)は11月の同比+6.6%と同じ、12月中国小売売上高(予想:前年比+8.0%)は、11月の同比+10.1%から伸び率鈍化が見込まれている。

 中国の消費者物価指数(CPI)は、昨年10月から12月まで、3カ月連続で前年比マイナスとなっており、デフレ懸念が再燃している。中国人民銀行は、デフレ圧力に対処し、貸し出しを増やすために、15日に中期貸出制度(MLF)の1年物金利を引き下げることが見込まれていた。しかしながら、利下げが見送られたことで、次回の2月19日の月次見直しまで先送りされている。
 中国の2023年通年でのGDPは前年比+5.2%と予想されており、成長率目標である5%前後の達成がほぼ確実となったことが見込まれている。今年の政策目標は、デフレリスクや住宅危機、長引く信用収縮が今年の成長モメンタム構築に向けた取り組みを損なうかどうかに移っている。


(山下)
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