NY為替見通し=FOMC前日もドル円の年初来トライへの仕掛けに警戒、カナダCPIも注目

 本日公表された日銀の金融政策決定会合では、マイナス金利解除と長短金利操作(YCC)は撤廃する一方で、緩和的な金融スタンスの継続を示した。週末から日経新聞をはじめ、リークにより地ならしが進んでいたこともあり、市場にとってサプライズとなるものはなかった。また、その後の植田日銀総裁の会見でも、質疑も応答もほぼ想定通りの問答で終わっている。

 市場予想通りの結果となったものの、市場の円売りや日本株買いは想定よりも大きく反応している。一部では海外勢が積極的にリスク選好の動きを仕掛けているとの声もあることで、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前にリスクはあるが、本日は仕掛け的に年初来高値を狙うステージも見受けられるかもしれない。また、豪準備銀行(RBA)がハト派と受け止められた声明文となるなど、複数の通貨でドル買いが進んでいることもドル円を支えそうだ。

 本日は米国からは2月米住宅着工件数、同月建設許可件数、1月対米証券投資動向などが発表される。昨日発表された3月の全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数は、市場予想や事業環境の好悪判断をする節目の50を上回る結果になったが、市場の反応は限られた。本日も仕掛け的な動き以外では、米経済指標で動意づくのは難しいだろう。

 円以外では、カナダドルの動きに要注目。本日はカナダから2月の消費者物価指数(CPI)が発表される。今月6日にカナダ銀行(BOC)は政策金利を据え置いたが、マックレムBOC総裁が会見で「基調的なインフレは持続している」などとタカ派と捉えられる発言をし、カナダドルは対ドルで1.36カナダドル近辺から1.34カナダドル前半まで、カナダドル高が進んだ。その後は米インフレ指標の上振れもあり、ドルの買い戻し(カナダドル売り)となったものの、2週間かけてようやく6日のBOC発表当日の水準近辺に戻している。本日のCPIの結果次第でBOC発表以前の水準よりもカナダドル売りが進むのか、もしくは超えることが出来ずにBOC発表前後の水準がレジスタンスとなるかの分水嶺となりそうだ。なお、2月CPIは前月比+0.6%、前年比+3.1%予想となっている。


・想定レンジ上限
 ドル円は、2月13日高値で年初来高値の150.89円。その上は昨年11月16日高値151.43円。
 ドルカナダドルは、2月28日高値で年初来高値の1.3606カナダドル。

・想定レンジ下限
 ドル円は、18日安値148.91円。
 ドルカナダドルは、15日安値1.3510カナダドル。


(松井)
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