週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、中銀の利下げ時期探る展開

◆ポンド、英中銀の利下げ時期を探る展開
◆対円では日銀短観や年度初めの動向、対ドルでは米金融政策への思惑に左右
◆加ドル、BOC会合や雇用統計に注目

予想レンジ
ポンド円 188.50-193.50円
加ドル円 110.00-113.50円

4月1日週の展望
 ポンドは英中銀(BOE)の利下げタイミングを探る展開が続きそうだ。今年2回目となる3月の金融政策委員会(MPC)では、昨年9月から5会合連続の据え置きが決定された。MPC委員9人中8人が据え置きを支持、1人が0.25%の利下げを主張。2021年9月以来、初めて利上げを支持する委員がいなかった。物価見通しやベイリーBOE総裁の発言などを踏まえて、夏頃と見られていた金利引き下げ時期の前倒しを予想する見方が広がっている。23年10-12月期国内総生産(GDP)確報値で小幅ながらもマイナス成長となり、景気後退(テクニカルリセッション)入りが確認されたことも英金利先安観を強めた。短期金融市場では利下げサイクルのスタートを6月会合と見始め、年内については合計3回の0.25ポイント引き下げを織り込んだ。

 ただ、英MPCが必ずしも一枚岩という訳でもなく、タカ派とされている複数の委員からは利下げ期待を高める市場に釘を刺す発言も出ている。次の会合は1カ月後だが、その前にインフレ動向が明らかとなるのは4月半ばのため、暫くは当局者の発言が材料視されるだろう。

 4月第1週は、英国の3月購買担当者景気指数(PMI)が発表されるものの、こちらは改定値であり市場インパクトは小さいだろう。それよりも1日の日銀短観や本邦年度初めに絡んだ円相場の動意、対ドルでは米雇用データを踏まえた米金融政策への思惑でポンドは上下しそうだ。

 加ドルもポンド同様に、対円では日銀短観や本邦からのフロー、対ドルでは米金利動向に左右されるだろう。ただ、5日には3月雇用統計が発表され、翌週10日にはカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合が予定されており、徐々にカナダ国内の材料に市場の目が向かっていきそうだ。

 カナダ雇用統計では、今年に入り好調な新規雇用者数が注目される。1月、2月ともに増加幅は市場予想の2倍以上にもなったが、雇用動向についてはBOCに利下げを急がせるものではない。もっとも、想定以上に鈍化していた2月消費者物価指数(CPI)を無視できないのは確かだ。4月のBOC会合では金利据え置きと見られているが、米国とは対照的なカナダのインフレ沈静化を受け、市場では米連邦準備理事会(FRB)に先んじて利下げ開始に踏み切るとの見方が広がっている。短期金融市場は既に6月5日BOC会合における0.25%引き下げ決定の確率を70%以上織り込んでいる。カナダの金利先安観が強まることになれば、加ドルの上値も追いづらくなりそうだ。

3月25日週の回顧
 ポンド円は週初に190円前半で下げ渋ると191円後半まで切り返した。もっとも一巡後はドル円の上昇一服にもつれて上値を切り下げた。ポンドドルは1.26ドル割れでは下げ渋るも、英金利先安観から1.26ドル台での伸びも限られた。
加ドルは対円では111円手前から111円後半、対ドルでは1.36加ドル前半から1.35加ドル前半まで加ドル高に振れた。予想より強い1月GDPや堅調な原油先物に後押しされたかたちだ。(了)


(小針)
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