NYマーケットダイジェスト・12日 中東緊迫で株安・金利低下・原油高

(12日終値)
ドル・円相場:1ドル=153.23円(前営業日比▲0.04円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=163.13円(▲1.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0643ドル(▲0.0083ドル)
ダウ工業株30種平均:37983.24ドル(▲475.84ドル)
ナスダック総合株価指数:16175.09(▲267.11)
10年物米国債利回り:4.52%(▲0.07%)
WTI原油先物5月限:1バレル=85.66ドル(△0.64ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=2374.1ドル(△1.4ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに小反落。日本時間夕刻に一時153.39円と1990年6月以来約34年ぶりの高値を付けたものの、海外市場に入ると一転売りが優勢となった。「イランの報復攻撃が48時間以内にも行われるとみて、イスラエルは備えを進めている」との報道をきっかけに中東の地政学リスクが高まると、原油先物価格が急騰し、時間外のダウ先物が下落。為替市場ではリスク・オフの円買いが強まった。前日の安値152.76円を下抜けると一時152.59円まで下げ足を速めた。
 もっとも、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、序盤の下落分を取り戻した。米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる中、押し目を拾いたい向きは多く徐々に下値を切り上げた。円以外の通貨に対してはドル高が進んだ影響も受けた。
 なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「今年は年末にかけて1回の利下げ」「私は利下げを急いでいない」との見解を改めて示したほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁も「政策金利を調整する緊急性は全くない」と繰り返した。

・ユーロドルは3日続落。中東の紛争拡大リスクの高まりを背景にリスク・オフのドル買いが入ると一時1.0623ドルと昨年11月以来約5カ月ぶりの安値を付けた。米ミシガン大学が公表した4月米消費者調査で、消費者態度指数(速報値)は予想を下回ったものの、同時に発表された消費者の期待インフレは予想を上回った。昨日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会をきっかけに、ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まる一方、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始は想定より後にずれるとの観測が高まっており、欧米の金利差拡大への思惑からユーロ売り・ドル買いが出た面もあった。

・ユーロ円は4日続落。中東情勢の緊迫化を背景にリスク・オフの円買いが先行すると、22時過ぎに一時162.28円と日通し安値を付けた。ただ、ドル円の持ち直しにつれた買いが入ると163.14円付近まで下げ幅を縮めた。
 なお、米国株市場でダウ平均は一時580ドル超下げたほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比760円安の3万8790円まで大幅下落した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落。米インフレへの懸念や地政学リスクを巡る懸念が投資家心理の悪化につながり、幅広い銘柄に売りが出た。指数は一時580ドル超下げた。決算内容が嫌気されたJPモルガン・チェースが6%超下落し、1銘柄でダウ平均を77ドルほど押し下げた。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落。「中国が外国製チップを段階的に排除することを巡って、インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が打撃を受けそうだ」との報道が伝わり、インテルが5%超、AMDが4%超下げた。

・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。中東の地政学リスクの高まりを背景に米国株相場が下落すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。足もとで相場下落が続いたあとだけに、週末を控えたポジション調整目的の買いも入った。

・原油先物相場は反発。イランのイスラエルへの報復攻撃が現実味を帯び、イスラエルも「攻撃に対して警戒態勢をとった」と報じられると、中東情勢の緊迫化で原油先物に買いが集まり一時87.67ドルまで上昇した。しかし、国際エネルギー機関(IEA)が2024年の原油需要予想を下方修正したことなどもあり、引けにかけては上げ幅を大幅に縮小して引けた。

・金先物相場は続伸。外貨準備のうち金への資産配分を増やしている中国やインドをはじめとした中央銀行の買いが観測される中で、金先物価格は堅調な動きを見せていたが「イスラエルがイランからの攻撃に警戒態勢」との報道が流れると、安全資産としての買いも入り一時史上最高値を大幅に更新した。しかしながら、週末を控えて利食い売りも入ると、引けにかけては上げ幅をほぼ吐き出し小幅に続伸して引けた。

(中村)
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