NY為替見通し=トランプ関税は依然として材料、米加首脳会談にも注目

 本日のニューヨーク為替市場では、トランプ関税を巡る市場全般のリスクセンチメントを測りながらの取引か。またカナダドルは、ホワイトハウスで行われる予定の米加首脳会談が注目される。

 昨日もベッセント米財務長官が、中国との貿易協議について「今後数週間で進展が見られる可能性」と言及したものの相場の反応は限られた。それよりも、米中首脳会談を否定したトランプ米大統領が「中国は米国を食い物にしている」と述べたことが嫌気されたもよう。一時高まった米中貿易摩擦の緩和期待がしぼみ、先週進んだリスク志向の動きが後退した。

 トランプ大統領の発言はこれまでも二転三転しているため、さすがに相場もその都度反応することに疲れてきたもよう。このところ通商合意に期待を持たせる言葉も多かったため、逆に梯子を外されたときの失望は大きいかもしれない。なお同大統領は昨日、海外で製作された映画に100%関税を課すと述べ、こちらも相場を困惑させている。

 ドル円は欧州前半に1日安値142.88円に迫る水準まで下落した。同日は日銀会合の結果公表や植田日銀総裁の会見を経て早期利上げ観測が後退し、ドル高円安が大きく進んだ日だ。その上げ幅をほぼ吐き出したことになる。

 円高が進行した要因の1つは、台湾ドルを始めとするアジア通貨高にもありそうだ。本日は台湾ドル買いが一服したものの、月初来では対ドルで5%超上昇した水準にいる。香港ドルも香港金融管理局(HKMA)の大規模な香港ドル売り介入にもかかわらず、許容変動幅の上限付近から脱出できていない。暫くはアジア通貨に絡んだニュースを注視する必要があるだろう。

 本日はカーニー加首相がホワイトハウスを訪れて、トランプ米大統領と会談する。先のカナダ総選挙でカーニー首相率いる自由党が勝利した大きな要因は、米大統領に対する加首相の断固たる態度とされている。そのため、両首脳が簡単に歩みよることはなさそうであり、本日の大きな進展は期待できそうにない。しかしながら、同盟国・隣国、重要な貿易相手国として新たな関係を構築すべきという考えもあるだろう。関係改善の兆しが見えれば、ひとまずカナダドルにとってポジティブと受けとめられるのではないか。

想定レンジ上限
・ドル円、本日高値144.28円
・カナダドル円、ピボット・レジスタンス1の104.65円

想定レンジ下限
・ドル円、4月29日安値141.97円
・カナダドル円、4月29日安値102.50円

(小針)
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