【松のすっとびストラテジー】(1)原油:目先は流れが弱気に転じると…

原油 ・・・ 目先は流れが弱気に転じると予想する。世界的に景気が減速する中で需要の低迷が続くとの懸念は、今後も相場の大きな重石となり続けるだろう。貿易裁判所が相互関税に対して違法との判断を下したことは、結局不確実性を強めるだけとなるだろう。最高裁がどのようは最終判断を下すのかにもよるが、ここまでの関税による混乱を帳消しにすくことはできない。OPECプラスが7月から3ヶ月連続の増産を決定するとの観測も、需給見通しを更に弱気に傾けることになる。一方地政学リスクの高まりや突発的な供給不安には、引き続き注意が必要だ。 〓弱気〓

天然ガス ・・・ 目先はまだしばらく天不安定な上下を繰り返す展開が続くことになりそうだが、その後は流れが改めて強気に転じると予想する。季節的な需要の低迷は引き続き相場の重石となりそうだ。在庫は平年を3%上回る水準にまで回復、需給が大きく緩んでいるわけでもないが、積極的に買いを呼び込むような状況でもない。一方この先本格的な夏を迎える中で厳しい暑さが続き、冷房需要の高止まりで在庫の積み増しペースが鈍ってくれば、中長期的な需給逼迫に対する懸念が改めて買いを呼び込むようになるだろう。LNG輸出の増加にも期待したいところだ。 〓強気〓

金 ・・・ 目先は関税を巡るトランプ大統領の言動や経済状況、米長期金利の動向にも振り回される中で、激しい上下を繰り返す展開が続くと予想する。今度は米国際貿易裁判所が相互関税を違法と判断、不確実性は強まる一方なっている。夜間取引では売りが先行しているが、政府は控訴するとしており、関税がすぐに撤回されるわけでもない。先行きの不透明感を嫌気した向きからの、安全資産に対する資金流入は、今後も下支えとなるだろう。 〓乱高下〓

株価指数 ・・・ 目先はしばらく不安定な上下が続くことになりそうだが、中長期的には流れが弱気に転じると予想する。今度は裁判所が相互関税を違法として差し止めを命令、もちろん政権は控訴に踏み切っており、不確実性は一段と強まることになった。夜間取引では買いが集まっているが、このまま関税がなかったかのように再び高値更新を試す展開になると思えない。不透明感は市場の一番嫌うところだし、長期金利が上昇基調を強めてきていることにも注意が必要だ。インフレの高止まりや景気の本格的な減速のリスクが、このまま回避されるわけでもないだろう。 〓乱高下〓

為替 ・・・ 目先は米景気が本格的に減速してくるとの懸念が重石となる中、流れが一段とドル安に傾いてくると予想する。トランプ関税に関しては裁判所が違法判断を下したことで、ますます不透明感が強まったが、少なくとも持続的なドル買いを呼び込む材料とはならないだろう。一方で米連邦債務の拡大を懸念した金利の上昇が、ドルや株の売りを呼び込むなら、不確実性が低いだけにトランプ関税よりも影響が深刻になると考えておくべきだと考える。 〓ドル安〓

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執筆者略歴

松本英毅(まつもと えいき)

よそうかい・グローバル・インベスターズ・インク代表。
会員制米国市場情報サイト「よそうかい.com 」を運営。
ニューヨークを拠点に活動し、実際のトレードに役立つ情報提供を身上とする。
金融から商品市場まで幅広い知識を有しており、一つの銘柄に捉われることなく総合的な判断を下すことができるのが強み。
中でも、1バレル=10ドル時代から追い続けてきた原油市場については造詣が深い。
トレード経験を活かした切り口の鋭い分析に定評がある。
なお、「米国商品情報を活用して待ち伏せする先取り株式投資術」の著者としても知られている。

(小針)
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