東京為替見通し=ドル円、イラン情勢や米金利上昇で強含み 円買い介入には要警戒か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇に連れて一時162.55円まで上昇した。ユーロドルは、1.1431ドルまで下落した。ユーロ円は、186.04円から185.72円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、イラン情勢の緊迫化を受けた有事のドル買いや原油価格の高止まりを受けた円売りで堅調推移が予想される。一方で、骨太の方針の閣議決定を来週に控えていることや本邦通貨当局による円買い介入への警戒感などが上値を抑える可能性はある。

 本邦通貨当局の円買い介入に関しては、2024年は4月末の「昭和の日」から7月の「海の日」にかけて実施されたことで、今年もゴールデンウィークに続いて来週20日の「海の日」に向けて警戒しておきたい。

 ドル円は、6月17日のタカ派的なFOMC声明の後のウォーシュFRB議長のタカ派見解を受けて7月FOMCでの利上げ観測が高まったことや、6月30日発表の「骨太の方針2026」原案が日銀の利上げを牽制していたことで、1986年以来の162円台に乗せていた。しかし、米国6月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)で利上げ観測は後退し、骨太の方針も修正された内容で21日に閣議決定される模様で、伸び悩む展開が続いている。

 来週21日には、1986年以来の円安と1996年以来の債券安という「骨太ショック」を齎した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案が閣議決定される。「骨太ショック」の要因は、財政面では、積極的な成長投資や危機管理投資を重視する一方で、従来の「財政健全化」の文言が削除されたこと、金融面では、日本銀行の適切な金融政策運営が非常に重要だとして、日本銀行に対して、「日本銀行法第4条と政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携」するように求めたことが挙げられる。

 日銀に対する利上げ牽制は、注釈の部分に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」とする日銀法第3条について言及する意向が示された。注目ポイントは、「財政健全化」の文言が復活するか否かだが、ムーディーズは、財政健全化から方向転換なら格下げの可能性を警告しており、削除されたままならば、ドル円は163円台へ、新発10年物国債利回りは3.0%台へ向けて上昇する可能性が高まる。

 高市政権は、財政健全化の指標として、これまでの「債務残高の対GDP比」ではなく「純債務残高の対GDP比」に着目することにしている。しかし、前提となるドーマー条件「GDP成長率>名目実効金利」では、10年債利回りが3.0%台に乗せた場合、財政の持続可能性に赤信号が灯ることになる。

 また、日本の債券市場の下落が米国債券市場に波及した場合、1月23日にベッセント米財務長官主導で行われた日米協調によるドル高・円安阻止のためのレートチェックの可能性が高まることになる。

 さらに、片山財務相は、新発10年物国債利回りの3.0%台乗せを回避するため、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内投資促進を打ち出している。GPIFの2025年度末のポートフォリオの外国債券・株式を下限まで落として、国内投資に振り向けるのか、それとも基本ポートフォリオを変更するのか、正式な発表が待たれる。
【GPIFの外国資産ポートフォリオ】
・株式 24.80% 74兆3569億円(※25%±6%)
・債券 24.48% 73兆3990億円(※25%±5%)

 このほか、2025年6月の「外国為替報告書」や9月の「日米財務相共同声明」では、年金による外国資産への投資が円安の要因との指摘、ヘッジ(円買い)への懸念が示されていたことで、外国資産全体に対するヘッジ比率の取り決めにも警戒しておきたい。

(山下)
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