週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、財政負担増への懸念強まる
◆ポンド、労働党が支持率トップに返り咲きも、財政負担増への懸念強まる
◆ポンド、MPCの内容を消化しながらの取引、据え置きもタカ派は増加
◆加ドル、7月雇用統計を待つ展開
予想レンジ
ポンド円 212.50-218.00円
加ドル円 112.50-116.00円
8月3日週の展望
来週のポンドは、バーナム新政権の動向と、30日に公表された英中銀金融政策委員会(MPC)の内容を消化しながらの展開となりそうだ。就任1週間で電気料金へのVAT(付加価値税)撤廃やバス運賃上限引き下げなど新施策を相次いで打ち出したことが功を奏し、労働党は支持率で約1年3カ月ぶりに首位に立った。バーナム首相は若年失業や介護、住宅など「大きな課題」への取り組みを表明し、高支持率を追い風に政策を推し進めやすい状況にある。もっとも、政策が英経済の活性化につながるかは未知数で、財源を巡る財政負担増への懸念はむしろ強まっている。
MPCでは、政策金利3.75%の据え置きが予想通り決定されたが、投票では反対(利上げ支持)が前回6月のグリーン、ピル両委員にマン委員も加わり、3名に増えた。グリーン委員は複数の供給リスクが重なる懸念への予防対応、ピル委員は賃金・物価の「キャッチアップ」を警戒し引き締めの必要性を訴えた。マン委員は中東紛争の激化を主因に、今回新たにタカ派側に回った。一方、据え置きを主導したベイリー総裁は、「対外的な不確実性は高いものの、英国内の基調的なディスインフレは維持されている」とした。「労働市場の緩和や引き締まった金融環境がインフレ圧力を抑えており、二次的波及効果の兆候も乏しい」としつつ、兆しが見えれば「即座に対応する」とも述べている。今後は、議事要旨でも指摘された中東情勢に加え、AI関連部材の供給制約やエルニーニョによる食品高も上振れ要因として注視すべきだろう。
加ドルは、週内は手がかりに乏しく、週末8月7日発表の7月雇用統計を待つ展開となる。統計は、6月分が雇用者数で前月比1.8万人増、失業率も6.5%へ改善したが、フルタイムはほぼ横ばいにとどまり、公共部門は3.1万人減と雇用の質には課題が残った。中銀も労働市場は軟調との認識を崩しておらず、この弱さが続けば政策の先行き不透明感が強まり、加ドルは不安定な動きになりやすい。逆に改善すれば、再び利上げも視野に入る。
今週は15日開催会合の議事要旨が公表され、中東情勢によるインフレの上振れと、米通商政策による成長下振れという2つのリスクを軸に議論したことが示された。原油高が続けば他の財・サービスへの波及も広がりかねない一方、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の不確実性は成長の重しになるとし、両リスクを見極め据え置きを決定した経緯が明らかになった。なお、短期金融市場では年内据え置き見込みが優勢で、来年の第1四半期での利上げを織り込みつつある。
7月27日週の回顧
ポンドは週初、バーナム首相が打ち出した施策が財政負担増に繋がるとの懸念が重しとなった。一巡後は買い戻されるも、ポンド円はドル円の急落につれて一時212円前半まで売り込まれた。ポンドドルはMPCの投票結果やドル円のドル安を受けて1.34ドル後半まで上げ幅を広げた。
加ドル円もドル円の急落を受けて、116円半ばから112円後半まで下げ足を速める場面があった。米金融イベントを通過し、加ドルは対ドルで1.3990加ドル台まで強含んだ。(了)
(執筆:7月31日、9:00)
◆ポンド、MPCの内容を消化しながらの取引、据え置きもタカ派は増加
◆加ドル、7月雇用統計を待つ展開
予想レンジ
ポンド円 212.50-218.00円
加ドル円 112.50-116.00円
8月3日週の展望
来週のポンドは、バーナム新政権の動向と、30日に公表された英中銀金融政策委員会(MPC)の内容を消化しながらの展開となりそうだ。就任1週間で電気料金へのVAT(付加価値税)撤廃やバス運賃上限引き下げなど新施策を相次いで打ち出したことが功を奏し、労働党は支持率で約1年3カ月ぶりに首位に立った。バーナム首相は若年失業や介護、住宅など「大きな課題」への取り組みを表明し、高支持率を追い風に政策を推し進めやすい状況にある。もっとも、政策が英経済の活性化につながるかは未知数で、財源を巡る財政負担増への懸念はむしろ強まっている。
MPCでは、政策金利3.75%の据え置きが予想通り決定されたが、投票では反対(利上げ支持)が前回6月のグリーン、ピル両委員にマン委員も加わり、3名に増えた。グリーン委員は複数の供給リスクが重なる懸念への予防対応、ピル委員は賃金・物価の「キャッチアップ」を警戒し引き締めの必要性を訴えた。マン委員は中東紛争の激化を主因に、今回新たにタカ派側に回った。一方、据え置きを主導したベイリー総裁は、「対外的な不確実性は高いものの、英国内の基調的なディスインフレは維持されている」とした。「労働市場の緩和や引き締まった金融環境がインフレ圧力を抑えており、二次的波及効果の兆候も乏しい」としつつ、兆しが見えれば「即座に対応する」とも述べている。今後は、議事要旨でも指摘された中東情勢に加え、AI関連部材の供給制約やエルニーニョによる食品高も上振れ要因として注視すべきだろう。
加ドルは、週内は手がかりに乏しく、週末8月7日発表の7月雇用統計を待つ展開となる。統計は、6月分が雇用者数で前月比1.8万人増、失業率も6.5%へ改善したが、フルタイムはほぼ横ばいにとどまり、公共部門は3.1万人減と雇用の質には課題が残った。中銀も労働市場は軟調との認識を崩しておらず、この弱さが続けば政策の先行き不透明感が強まり、加ドルは不安定な動きになりやすい。逆に改善すれば、再び利上げも視野に入る。
今週は15日開催会合の議事要旨が公表され、中東情勢によるインフレの上振れと、米通商政策による成長下振れという2つのリスクを軸に議論したことが示された。原油高が続けば他の財・サービスへの波及も広がりかねない一方、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の不確実性は成長の重しになるとし、両リスクを見極め据え置きを決定した経緯が明らかになった。なお、短期金融市場では年内据え置き見込みが優勢で、来年の第1四半期での利上げを織り込みつつある。
7月27日週の回顧
ポンドは週初、バーナム首相が打ち出した施策が財政負担増に繋がるとの懸念が重しとなった。一巡後は買い戻されるも、ポンド円はドル円の急落につれて一時212円前半まで売り込まれた。ポンドドルはMPCの投票結果やドル円のドル安を受けて1.34ドル後半まで上げ幅を広げた。
加ドル円もドル円の急落を受けて、116円半ばから112円後半まで下げ足を速める場面があった。米金融イベントを通過し、加ドルは対ドルで1.3990加ドル台まで強含んだ。(了)
(執筆:7月31日、9:00)