東京為替見通し=ドル円、FOMC控えてNYダウ下落と米10年債利回り低下で弱含みか

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時2.7286%前後まで低下したことで135.57円まで下落後、136.28円付近まで反発した。ユーロドルは米長期金利の大幅低下や低調な米経済指標を受けて一時1.0255ドルまで上昇した後は、上値が重い展開となった。ユーロ円は欧米の景気指標が悪化したことで世界的な景気後退への警戒感が強まり138.78円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げにとどまるとの観測や米10年債利回りの低下で上値が重い展開が予想される。
 フェデラル・ファンド(FF)金利先物での直近の利上げ確率は、0.75%が80%程度、1.00%が20%程度となっており、リスクシナリオは1.00%の利上げが断行された場合となる。

 また、米国2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)の状態が継続しており、リセッション(景気後退)への警戒感が高まりつつある。先週末の終値は2年債が2.97%付近、10年債が2.75%付近となっている。米国2年債の利回りは、FF金利の到達点と目される3%程度の見通しを反映しているが、10年債の利回りが低いのは、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化により、最終的にはリセッションに陥り、来年以降は利下げに転じるとの見通しを反映していることになる。

 先週の日銀金融政策決定会合では、予想通りに大規模金融緩和政策の維持が決定された。そして、黒田日銀総裁は会見で、利上げを強く否定し、少しの利上げでは円安は止まらない、と述べて、円安基調を黙認した。
 黒田日銀総裁が利上げを強く否定したことで、日本の10年国債利回り0.25%の上抜けを狙って国債先物を売り仕掛けていた米系ファンド勢は、撤退を余儀なくされ、先週末の10年国債利回りは0.21%台まで低下している。
 多くの米系ファンド勢は、8月に向けて夏季休暇に入ることで、日本売りのポジション(円売り・日本国債売り)を手仕舞いつつあるのかもしれない。

 今週は、26-27日のFOMCでの利上げ幅を見極めた後は、今月末が期限となっているロシア・サハリン(樺太)沖の液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」への日本企業の再申請の結果を見極めることになる。もし、日本企業が排除された場合は、天然ガスの調達に支障を来す可能性が高まることで、エネルギー危機となる展開にも警戒しておきたい。

(山下)
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