欧州マーケットダイジェスト・4日 株高・金利低下・ポンド失速・ドル安

(4日終値:5日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=133.13円(4日15時時点比▲0.93円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=136.29円(△0.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0237ドル(△0.0074ドル)
FTSE100種総合株価指数:7448.06(前営業日比△2.38)
ドイツ株式指数(DAX):13662.68(△75.12)
10年物英国債利回り:1.889%(▲0.023%)
10年物独国債利回り:0.803%(▲0.071%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
6月独製造業新規受注
前月比                ▲0.4%    ▲0.2%・改
前年比                ▲9.0%    ▲3.2%・改
7月英建設業購買担当者景気指数(PMI) 48.9       52.6
英中銀、政策金利発表       1.75%に引き上げ   1.25%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。18時前に一時134.42円と日通し高値を付けたものの、前日の高値134.55円がレジスタンスとして意識されると失速。「中国軍が台湾東部沖に発射した複数のミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちた」と伝わると、リスク・オフの円買い・ドル売りがじわりと強まった。米長期金利の低下や米国株の下落も相場の重しとなり、1時30分過ぎに一時132.95円と日通し安値を更新した。テクニカル的なポイントとして意識されていた一目均衡表雲の上限133.71円を下回ったこともドル円の戻りを鈍くした。
 なお、岸信夫防衛相は4日夜、中国軍が発射した弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に落下したことを受けて、臨時記者会見を開き「我が国の安全保障、国民の安全に関わる重大な問題。強く非難する」と表明した。また、防衛省は「中国軍が発射したミサイルは台湾本島上空を飛翔したものと推察する」と発表した。

・ユーロドルは強含み。しばらくは1.01ドル台後半でのもみ合いが続いていたが、NYの取引時間帯に入ると値を上げた。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢となり、3時前に一時1.0243ドルと日通し高値を更新した。

・ポンドドルは一転下落した。英中銀(BOE)が市場予想通り政策金利を1.25%から1.75%に引き上げることを決めたと発表すると一時1.2210ドルと日通し高値を更新したものの、すぐに失速した。併せて発表した四半期ごとの金融政策報告書では「さらなるインフレの加速を見込む」とした一方、「英経済は2022年10-12月期から景気後退(リセッション)に入ることが見込まれる」との見解が示された。高インフレと経済成長の悪化が続く可能性が示唆されたことで、リセッションへの懸念が高まりポンド売りが出た。21時前には一時1.2066ドルと日通し安値を更新した。
 もっとも、NY市場に入ると全般ドル売りが進んだ流れに沿って、1.2167ドル付近まで持ち直した。

・ユーロ円は上値が重かった。日本時間夕刻に一時136.92円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に弱含んだ。台湾情勢の緊迫懸念は依然として強く、リスク・オフの円買い・ユーロ売りが入った。21時30分過ぎに135.66円付近まで売られ、アジア時間に付けた日通し安値135.65円に迫った。

・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が買われた半面、BPやシェルなどエネルギー株が売られた。なお、BOEはこの日、市場予想通り政策金利を1.25%から1.75%に引き上げることを決めたと発表。同時に発表した金融政策報告書では「さらなるインフレの加速を見込む」とした一方、「英経済は2022年10-12月期からリセッションに入ることが見込まれる」と警告した。

・フランクフルト株式相場は続伸。前日の米国株や本日のアジア株が上昇した流れを引き継いで買いが優勢となった。ただ、この日の米国株が下落したため、引けにかけては上げ幅を縮めた。個別ではザランド(13.10%高)やシーメンス・ヘルシニアーズ(3.71%高)、ハローフレッシュ(3.43%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は上昇。BOEがリセッション入りを警告したことで、先行きの経済低迷が意識され、英国債に買いが入った。

(中村)
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