東京為替見通し=ドル円、お盆休みで動意に乏しい展開か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米消費者物価指数(CPI)が前年同月比で8.5%上昇に留まったことで、132.03円まで急落した。ユーロドルは米CPIの下振れをきっかけに米金利が低下したことで1.0368ドルまで上昇した。ユーロ円は138.40円まで上昇後、136.62円まで反落した。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が山の日の祝日休場のため動きづらい展開が予想される。

 本邦勢は本日からお盆休みに入っており、本邦輸出企業はドル売りオーダーを136円以上に置き、本邦輸入企業はドル買いオーダーを132円以下に置いている模様。
 さらに、毎年恒例の8月15日の米国債償還・利払いに伴う円買い需要も、ドル円の上値を抑える要因となっている。

 米7月のCPIが前年比+8.5%へ低下したことで、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ確率は42.5%へ低下、0.50%の利上げ確率は57.5%へ上昇している。

 パウエルFRB議長は7月27日の会見で、具体的なフォワードガイダンスは示さずに、「今後の利上げについてはデータ次第であり、会合ごとに判断される」と説明した。
 9月20-21日のFOMCまでには重要な雇用・物価データが以下の通り5つある。
・7月雇用統計(8/5発表):0.75%の利上げを正当化
・7月消費者物価指数(CPI)(8/10発表):+8.5%へ鈍化し、0.75%利上げ確率低下
・7月PCE総合価格指数(8/26)※米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視
・8月雇用統計(9/2)
・8月消費者物価指数(9/13)
 米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は「FRBはインフレ減速のさらなる証拠を求めている可能性が高い。今後のデータで物価圧力が緩和されていることが確認されれば、FRBは9月に0.50%の利上げを実施する可能性があるものの、0.75%利上げの可能性も依然としてある」との考えを示している。

 昨日は、中国政府が「台湾への武力行使排除しない。台湾民進党の行動は平和と安定を損ねるため障害、排除の必要」と警告しており、台湾情勢の地政学リスクには引き続き要警戒となる。中国政府は、ペロシ米下院議長の台湾訪問に対して、軍事演習「72時間作戦計画」を断行し、大規模ミサイル攻撃、領空・領海の封鎖、上陸作戦を行った。英高級紙デーリー・テレグラフが、英外交筋の話として、ロシアがウクライナに侵攻した際、西側指導者が適切に対応するのに少なくとも2日間かかったことから、中国共産党が武力で台湾を統一する決断をした場合、西側に対応する時間を与えないよう電光石火の「48時間攻勢」を完遂することを目指していると、報じている。習中国国家主席は、ウクライナに西側から武器や資金の供与を受ける時間を与えてしまったため、プーチン露大統領の計画は頓挫したと考えているらしい。習中国国家主席は「台湾問題の解決と祖国の完全統一実現は党の歴史的任務」と述べており、第20回共産党大会で3期目続投が決定する前か、後かにレガシーを目指すのかもしれない。



(山下)
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