東京為替見通し=9/2発表の米8月雇用統計待ちで動意薄、中国8月PMIに要注目か

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米8月消費者信頼感指数が予想を上回り、米10年債利回りが3.1493%前後まで上昇したことで139.07円まで上昇した。ユーロドルは、0.9983ドル付近まで下押しした後、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ観測を背景に反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今週末9月2日に発表される米国8月の雇用統計を控えて動きづらい中、中国8月のPMIを見極める展開が予想される。

 米国8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+30.0万人で7月の前月比+52.8万人から増加幅の減少、失業率は7月と変わらずの3.5%と予想されている。7月の増加幅を上回れば、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅が0.75%となる確率が高まり、予想を下回れば、0.50%の利上げ確率が高まることになる。しかし、パウエルFRB議長が26日のジャクソンホール会合で示唆したように、高金利の状態が当面続くことになることで、ドル円の下値は限定的だと思われる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日のFOMCでの0.50%の利上げ確率は31.5%、0.75%の利上げ確率は68.5%となっている。

 10時30分に発表される8月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、49.2と予想されており、7月の製造業PMIの49.0に続き、2ヵ月連続で景況感判断の境目である50を下回ることが見込まれている。予想通りに2カ月連続で50を割り込んだ場合、景気悪化への警戒感が高まり、さらに元安が進む可能性が高まることになる。  中国人民銀行は、低迷する内需を下支えするために、今月15日に中期貸出制度の1年物金利を2.85%から2.75%に引き下げ、22日には、事実上の政策金利である最優遇貸出金利の1年物金利を3.70%から3.65%に引き下げている。
 習中国国家主席は、ゼロコロナ政策を維持しつつ、7月末の会議で「雇用・物価の安定」を重視する方針を決定し、10月16日からの第20回共産党大会に向けて景気浮揚を目指している。
 中国人民銀行は、物価や為替の安定を重視する方針を打ち出しており、昨日まで5営業日連続で、人民元の中心レートを市場予想より元高方向に設定しており、急激な元安に歯止めをかけている。



(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。