株式明日の戦略-3日間で1000円を超える上昇、あすは米CPI発表前に様子見か

 12日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は327円高の28542円。米国株高を好感して、寄り付きから200円を超える上昇。テクニカルの節目である25日線を大きく上回ってきたことで買いに勢いがつき、序盤では上げ幅を400円近くに広げた。28600円台に乗せたところでは上値が重くなったが、失速しても28500円を下回ったところでは盛り返す展開。後場は動意薄となり、28500円近辺での小動きが続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆1700億円。業種別では陸運、空運、精密機器などが上昇した一方、鉱業、電気・ガス、海運などが下落した。上方修正を発表したオハラ<5218.T>が急騰。反面、今22.10期が営業赤字に転落見込みとなったイトクロ<6049.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1259/値下がり488。売買代金上位銘柄では、ソフトバンクG、ファーストリテイリング、メルカリなどが強い上昇。政府が入国者数の上限を撤廃すると伝わったことで、インバウンド関連が幅広く物色された。JALやANAは序盤に跳ねた後に萎んだが、西武HD、京浜急行、富士急行など私鉄の一角が大幅高。百貨店の高島屋や三越伊勢丹のほか、マツキヨココカラ、ビックカメラなど小売株の動きも良く、中国訪日客に強みをもつラオックスは15%超上昇した。gumiが1Q決算を手掛かりにストップ高、支援観測が伝わった日医工がストップ高と、好材料のあった銘柄には資金が殺到した。

 一方、日経新聞のコンテナ船に関する記事が警戒材料となり、海運の日本郵船や川崎汽船が下落。円安一服でトヨタが売られ、米長期金利の先高観測後退で三菱UFJが売られた。9日の米商品市場では原油価格は上昇したが、INPEX、富士石油、出光興産など原油関連は総じて軟調。株高が続く中でディフェンシブ系銘柄が敬遠されており、、東電HDや中部電など電力株や、マルハニチロや日本水産など水産株が売りに押された。クミアイ化学は3Qが大幅増益となったものの、通期見通し据え置きが嫌気されて8%を超える下落。下方修正を発表したケア21が大幅安となった。

 日経平均は3営業日連続で3桁の上昇。この3日間の上げ幅は1000円を超えた。あすは米国で8月消費者物価指数(CPI)の発表があり、これを前に様子見姿勢が強まると予想する。ただし、今回の結果がどうであっても9月FOMCでの利上げ幅は0.75%が濃厚。今晩の米国株が大崩れしない限りは、リスク回避ムードはそれほど高まらないであろう。短期的な過熱感は意識されるが、日足チャートでは75日線までで下げ止まり、その後の上昇で25日線を明確に上に抜けた。チャート好転でむしろここから買いの勢いが強まりそうでもある。下げたとしてもほど良いクールダウンと受け止められる可能性が高く、売り方の撤退で踏み上げ的な上昇が続くシナリオも意識しておく必要がある。
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