週間為替展望(ドル/ユーロ)- 日・欧州金融政策決定会合に注目

◆ドル円、円買い介入の可能性や日銀金融政策決定会合でのインフレ率3%への見解に注目
◆米国の第3四半期国内総生産(GDP)速報値や9月PCE価格指数に注目
◆ユーロドル、欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げ幅に注意

予想レンジ
ドル円 148.00-152.00円
ユーロドル 0.9500-1.0000ドル

10月24日週の展望
 ドル円は、11月と12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利0.75%の追加利上げ観測を背景に上昇トレンドの継続が予想される。しかしながら、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒したい。
 
 27-28日に開催される日銀金融政策決定会合では、9月のコア消費者物価指数が1991年8月以来となる前年比+3.0%まで上昇したことで、世界で唯一のマイナス政策金利(▲0.10%)との整合性がどのように説明されるのか注目しておきたい。黒田日銀総裁は、「賃金上昇を伴う持続的なインフレ率上昇まで、現状の大規模金融緩和策を継続する」と繰り返し述べていることから、日銀の金融緩和策には変わりがないと予想されているが、ドル円の下支え要因となっている。

 また、27日に発表される米国7-9月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+2.0%と予想されており、2四半期連続のマイナス成長からの脱却が見込まれている。予想通りに景気回復が確認された場合、ドルの下支え要因となりそうだ。さらに、28日に発表される米国9月のPCEコア価格指数は、前年比+5.2%と予想されている。8月の+4.9%からの上昇が見込まれており、9月の消費者物価指数(+8.2%)を裏付けることになる。予想通りならば、11月と12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利0.75%の追加利上げの確率が高まることになるだろう。ドル買い要因となる。

 なお、9月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)では、年末のFF金利の予想中央値は4.4%。現在の3.00-3.25%から1.25%程度の利上げが示唆された。しかし、現状では、0.75%x2回=1.50%の利上げ、つまり、4.50-4.75%までの利上げを織り込みつつあるほか、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は、5.00%付近だと示唆されている。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げ幅とバランスシートの縮小開始時期に注目する展開が想定される。タカ派のECB高官は、中立金利水準を2.25-2.50%程度であると見なしており、2%台への利上げ継続を主張している。予想通りに政策金利が0.75%引き上げられても、エネルギー危機による景気減速への警戒感や地政学リスクなどから上値は限定的となりそうだ。10月のユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値では、天然ガス供給懸念、物価上昇、地政学リスクの高まりなどから、ネガティブサプライズに警戒したい。

10月17日週の回顧
 ドル円は、米10月ミシガン大学消費者態度指数での期待インフレ率の上昇やバイデン米大統領がドル高を容認したことなどを受けて、米10年債利回りが4.26%台まで上昇。148.19円から一時150.43円まで値を上げた。本邦通貨当局からは、円安牽制発言は相次いだものの、ドル売り・円買い介入は見られなかった模様。ユーロドルは、0.9711ドルから0.9876ドルまで上昇後、米10年債利回りが4.26%台まで上昇したことで、伸び悩む展開となった。(了)
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