東京為替見通し=ドル円、明朝のFOMC声明待ちで動きづらい展開か

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.91%台から4.07%台まで急激に上昇したことで、146.99円の安値から148円台まで反発した。ユーロドルは0.9953ドルから0.9853ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明でのタカ派観測から底堅い展開が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入には要警戒か。

 8時50分に発表される10月マネタリーベースでは、9月に続いて前年比マイナスなのか否かに要注目か。
 9月のマネタリーベースの平均残高は前年比3.3%減の634兆1934億円となり、前年比でマイナスとなるのは2012年4月以来だった。日銀はマネタリーベースについて、コア消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」を掲げている。
 マネタリーベースが9月に続いて10月も前年比マイナスだった場合、日銀の「ステルス・テーパリング」が始まっている可能性が高まることになる。すなわち、財務省のステルス円買い介入による円資金引き揚げと、日本銀行のステルス・テーパリングによる円資金供給減額により、本邦通貨当局の円安抑制措置が整合的となる。
 ジョージ・ソロス氏は、日本銀行と米連邦準備理事会(FRB)のマネタリーベース比率がドル円相場の動向を示すとした「ソロス・チャート」を駆使していた。
 FRBは、3月に利上げを開始し、量的金融緩和を終了したことで、4月のマネタリーベースが減少に転じ、ドル高要因となった。日銀のマネタリーベースは8月まで増加傾向にあり、円安要因となっていたが、9月から減少に転じている。

 明朝発表されるFOMC声明では、0.75%の追加利上げが決定されることは織り込み済みだが、注目ポイントは、12月FOMCでの利上げ幅の協議内容となる。

 米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者の記事は、以下の通りとなる。
・10月21日「11月のFOMCでは0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」
・10月30日「FRBのターミナルレート(利上げの最終地点)が想定よりも高くなる可能性」
・10月31日「利上げペースを減速しつつ、ターミナルレートが想定よりも高くなることは可能。利上げペース減速はターミナルレートの低下を意味しない」

 すなわち、12月のFOMCでは0.75%ではなく0.50%の利上げとなり、その後も0.25-50%と利上げペースを減速させるものの、ターミナルレートは5%前後まで高める、というものかもしれない。
 また、昨日は、米大統領経済諮問委員会(CEA)メンバーが「大統領はFRBの政策転換を支持した」と発言しており、続報にも警戒しておきたい。



(山下)
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