東京為替見通し=中国政府の対応に要注目、月末控え本邦勢の動きも旺盛

 海外市場でドル円は、米10年債利回りが時間外取引で3.61%台まで低下すると円買い・ドル売りが進行し、欧州序盤に一時137.50円と日通し安値を付けた。NY市場に入ると米10年債利回りが上昇に転じたことで円売り・ドル買いが出たほか、米連邦準備理事会(FRB)高官らのタカ派的な発言が相場を下支えした。ユーロドルは、一時1.0497ドルと6月29日以来約5カ月ぶりの高値を付けたが、ダウ平均が一時540ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したこともリスク・オフのドル買いを誘い1.0331ドルまで弱含んだ。

 本日の東京時間のドル円は、中国政府がコロナ政策に対してどのような判断を下すかが注目となる。
 昨日は中国元に対するドル買いが先行し、ドル円は朝方に139.47円まで連れ高になった。しかしながら、次第に市場はリスク回避のドル買いだけではなく、円買いが進むと137.50円まで下値を広げた。1日で約2円の大相場となったが、不安定な為替市場の動向は本日も継続されそうだ。
 中国各地で広がったゼロコロナ対策への抗議活動だが、昨日中国共産党の官営機関紙である環球時報の元編集長・胡希進氏は「予想より早く中国はコロナの影から抜け出すかもしれない」とツイートし、中国の方針を転換する予想を立てている。しかし、習近平・中国国家主席がデモに対して屈するような姿勢をすぐに見せた場合は、弱腰と捉えられることで、あくまでも「予想より早く」であり、早急に方針が変わるのは難しいか。いずれにしろ、本日は、中国の感染状況、抗議活動の進展、中国政府の対応などのヘッドラインには要警戒となりそうだ。なお、今回の抗議活動について、米CNBCは「中国の最大リスク(the biggest China risks)」と報じていることで、問題を軽視するのは危険だろう。

 中国関連以外は、時間外の米金利動向を注視しながらの取引になりそうだ。昨日はFRB高官の相次ぐタカ派発言で、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月14日のFOMCでの0.50%利上げ確率は75.8%から67.5%へ低下、0.75%利上げ確率は24.2%から32.5%へ上昇している。本日はFRB高官の講演は予定されていないが、明日はパウエルFRB議長の講演や米地区連銀経済報告(ベージュブック)も公表も行われることで、米金利は神経質な動きになりそうだ。

 なお、本日は本邦の失業率と商業販売統計速報が発表される以外は、オセアニア、アジア国ともに主だった経済指標の発表は予定されていない。しかしながら、この数営業日は東京仲値にかけて、邦銀を中心に強引な値決めをしていることや、月末を控え本邦勢の動きも旺盛になっていることで、流動性の悪い中で市場の振幅は大きくなるだろう。

(松井)
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