東京為替見通し=ドル円は底堅いか、オセアニア通貨は重要イベントあり乱高下も

 海外市場で、2月米製造業・サービス部門・総合PMI速報値が予想を上回ったことで、米10年債利回りが3.9584%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録し、ドル円は一時135.23円と約2カ月ぶりの高値を更新した。ユーロドルは1.0638ドルまで弱含んだ。

 本日のドル円は、上げ幅を広げている米債利回りに支えられ底堅い動きになりそうだ。米国経済指標は、1月雇用統計から始まりCPI、卸売物価指数(PPI)、小売売上高、そして昨日の2月PMIがそれぞれ強い結果となったことで、再びインフレ高進のリスクが増している。今週末24日に米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している1月の個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控えていることで、24日にかけては多少のポジション調整が入る可能性もあるだろうが、それまでは大きくドルを売る要因が少ないことで、ドル円は底堅さを維持できそうだ。

 もっとも、円買い要因もあることで、昨年のような一方的なドル円の上昇にはなりにくい。日本国内のインフレが徐々に速度を上げて進んでいることもあり、植田日銀新総裁候補が、これまでの黒田路線からの変更を余儀なくされそうだ。海外投資家が本邦国債を大きく売り越し、国内投資家も外債を売却し、資金を国内に回帰させていることがドル円の上値を抑えそうだ。

 ドル円以外では、本日はオセアニア通貨に要注目。豪州からは日本時間の9時半に10-12月期の賃金指数が発表される。昨日公表された今月7日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨では再利上げは示唆したものの、ロウRBA総裁は先週「数週間のうちに経済情勢を再評価する」とも発言している。本日発表される10-12月期賃金指数、明日発表予定の同期・民間設備投資、そして来週3月1日発表予定の同期・国内総生産(GDP)の結果次第で、RBAの政策スタンスが急変する可能性もある。

 ニュージーランド(NZ)からは、NZ準備銀行(RBNZ)が金融政策委員会(MPC)終了後の日本時間10時に政策金利を公表する。市場では0.50%の引き上げ(4.25%から4.75%)予想が優勢となっている。今月襲来したサイクロン「ガブリエル」の経済的な影響が懸念される反面、NZ財務省はサイクロンの復興需要が同国の経済活動を後押しするとの見解を示している。利上げ幅にも注目だが、政府とRBNZの見解に相違があるかを確かめるため、声明文や日本時間11時頃に予定されているオアRBNZ総裁の会見にも目を向けたい。先週、ロバートソンNZ副首相兼財務相が「インフレがピークに達したという兆候がある」と述べているが、RBNZが同じ見解を示すのかに注目。

 豪・NZ両国のイベントで、値動きで注目されるのが、豪ドル/NZドルの動き。今週20日には同通貨ペアは昨年10月後半以来の高値を更新している。

(松井)
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