週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、下方向への警戒感が緩む

◆ポンド、英経済への懸念が後退し下方向への警戒感が緩む
◆加ドル、3月会合での利上げ停止の思惑もあり上値は重そう
◆加ドル、原油相場が大幅に値を下げる可能性は低くい

予想レンジ
ポンド円 158.00-165.00円
加ドル円 97.50-101.50円

2月27日週の展望
 1月の予想を上回る米雇用とインフレ、小売売上高の結果を受けて、米金融引き締めの長期化観測が高まっているだけではなく、インフレに勝利した後の中立金利水準も従来考えられていた水準より高くなるのではないかとの思惑も浮上している。ドル高の流れは当面続く可能性が高く、ポンドと加ドルは来週も対ドルで上値の重い動きが見込まれる。

 ポンドは英経済の先行きに対する懸念がやや後退し、下方向への警戒感が緩むも、ドル高の流れが続くなか、戻り売り圧力は根強い。英2月製造業PMI速報値は49.2、サービス部門は53.3と予想以上に改善した。総合PMIも53.0と1月の48.5から大幅に上昇し、昨年7月以降初めて景気判断の分岐点とされる50を上回った。サプライチェーンの改善や景気後退リスクに緩和の兆しが見られ、企業心理の改善が広がりを見せており、イングランド中銀(英中銀、BOE)が3月会合でインフレ抑制のために利上げを継続するとの見方が一段と強まっている。

 また、スナク英首相は欧州連合(EU)離脱後の北アイルランド問題についてEUとの数週間の交渉を経て、与党内での支持獲得に動いている。スナク首相は約3年にわたりEUとの関係に悪影響を及ぼしている、離脱後もEUの単一市場に実質的に残った北アイルランドと英国との貿易取り決めについて早い段階での解決を目指している。

 来週、加国内では12月、10-12月期GDPの発表が予定されている。カナダ中銀(BOC)の政策引き締めの影響が経済で実感できるのはまだ先になりそうで、指標結果への注目度はそれ程大きくないものの、弱い結果となればBOCの利上げ停止思惑を強める可能性はある。1月の加雇用データが強い結果となり、BOCが1月会合で示唆した「今後の利上げをいったん停止」との方針に圧力を強めたが、今週発表の1月消費者物価指数(CPI)が前年比+5.9%と伸び率が予想以上に抑えられたことで、3月会合では2022年3月以来8会合続いた利上げをいったん停止するとの見方が強まった。足もとでは原油相場もさえない動きとなっており、加ドルは上値の重い動きが見込まれる。

 米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続し、経済成長や原油需要を圧迫するとの懸念が強まっている。今週の原油相場はさえない動きとなったが、今年の中国の原油輸入量は過去最高を更新する見通しで、今年の世界石油需要の高まりに期待感が強く、原油相場が大きく値を下げる可能性は低下している。加ドルの大きな懸念材料にはならないだろう。

2月20日週の回顧
 先週のポンドは底堅い動き。英2月PMIの予想を上回る結果がポンド買いにつながり、ポンドドルは1.21ドル半ば、ポンド円は163円後半まで上昇した。加ドルは予想比下振れの加1月CPIや原油安が重しとなり、ドル/加ドルは1.35加ドル後半まで加ドル安となった。加ドル円はドル円の上昇が支えとなるも、100円前半で伸び悩んだ。(了)
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