週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、BOEの引き締め姿勢がポイント

◆対ドルではFOMC声明やFRB議長の会見に注目
◆ポンド、BOEの引き締め姿勢がポイントに
◆加ドル、BOC利上げ打ち止め示唆の影響を見定め

予想レンジ
ポンド円 157.50-164.50円
加ドル円 96.00-100.00円

1月30日週の展望
 ポンド・加ドルともに対ドルでは、2月1日(日本時間2月2日未明)に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明や、その後に開かれるパウエル米連邦準備理事会(FRB)の定例記者会見が注目される。政策金利は25bp引き上げが完全に織り込み済み。市場参加者の目は年央以降に向いており、短期金融市場が期待する利下げについて金融当局がどのような見解を示すのかが重要となりそうだ。インフレ基調は確かに鈍化しているものの新規失業保険申請件数などは強い結果が続いており、労働市場のタイトさが強調されるようだと前述した「期待」が後退することになる。いずれにせよ荒い値動きへの準備は必要だろう。

 2月2日にはイングランド銀行(英中銀、BOE)が金融政策を発表予定。インフレの高止まりを背景に追加利上げが確実視されており、引き上げ幅に対する市場予想は前回同様の50bpが優勢だ。金融引き締めはその後も続き、現状では、夏までにさらに合計50bpの引き上げが見込まれている。この辺りまでは既定路線のようだが、ポイントは年後半に向けたBOEのスタンスだろう。ベイリーBOE総裁による「今春終わりごろからインフレ鈍化が顕著になる」との見通しや、英経済が景気後退(リセッション)入りする可能性の高まりを受け、短期金融市場では年末までにBOEが利下げに転じることを織り込み始めた。MPC議事要旨や同時に発表される金融政策レポートで何らかのヒントが示されるに注視したい。

 加ドルはカナダ中銀(BOC)会合の影響をしばらく見定める展開か。BOCは25日、市場の予想通り政策金利を4.25%から4.50%に引き上げた。ただ声明では、コア・インフレ率がピークに達した可能性が指摘され、「経済が見通し通りに進展するようなら、これまでの累積的な利上げ効果を見極めるため、政策金利を現在の水準で維持すると予想する」と利上げ休止を示唆。これを受けて発表後には加ドル売りが強まった。もっともマックレムBOC総裁がその後の会見で、「一時停止は条件付き」「利上げの完全な効果はまだ感じられない」と過度な思惑をけん制すると、加ドルも買い戻されている。2月8日にはBOCが初めて議事要旨を公表するため、それまでは市場のリスクセンチメントの強弱を眺めながら加ドルは上下することになりそうだ。

1月23日週の回顧
 ポンドは週半ばにかけては下値を試した。英国の1月総合PMI速報値が2年ぶりの低水準を記録したことや、英予算責任局(OBR)が春にも中期的な成長予測を下方修正するとの報道が重しとなった。もっとも翌週には金融政策の発表を控えていることもあり、一巡後は買い戻しが優勢に。対円では159円半ばから161円台、対ドルでも1.22ドル台から1.24ドル前半まで反発した。
 
 加ドルは底堅かった。BOCが利上げ打ち止めを示唆したことで売られるも対円では96円前半、対ドルでも1.34加ドル前半までだった。その後は、BOC総裁の発言や原油高を背景に対円では97円後半、対ドルでは1.33加ドル付近まで加ドル高に振れた。(了)
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