予想とまとめ

週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英米通商合意の影響を見定め
2025/05/09 10:40
◆ポンド、英米通商合意の影響を見定め、詳細は今後も交渉
◆ポンド、英中銀は予想通り利下げも、MPCメンバーの意見分かれる
◆加ドル、米加関係の行方を注視

予想レンジ
ポンド円 191.00-196.00円 
加ドル円 102.50-106.50円 

5月12日週の展望
 英国と米国は8日、貿易協定の合意を発表した。10%の基準関税は維持されるものの、英自動車メーカーはトランプ米大統領が他国に課した税率25%よりも低い関税で米国に輸出できる。協定の詳細については交渉が続くとされ、今後も内容を見定めながらの取引となるだろう。

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は8日、政策金利の4.5%から4.25%に引き下げを公表。2会合ぶりの利下げや下げ幅は市場の予想通りであり、声明内容にも大きな変更はなかった。ただ、金融政策委員会(MPC)メンバー内で意見が分かれたのは予想外だった。ディングラ委員とテイラー委員の0.50%引き下げ主張は想定内としても、マン委員とピル委員(中銀チーフエコノミスト)が据え置きを主張したのはサプライズ。英中銀が緩和ペースを加速する可能性も高まっていただけに、この時点で2人も利下げ慎重派がいることはベイリーBOE総裁の舵取りを難しくさせそうだ。なおマン委員は、0.25%利下げした2月会合では0.50%の大幅利下げを主張していた。

 英米の貿易関係は最悪な展開が避けられたため、英中銀の次の一手を探るうえでは経済データを1つずつ確認していく必要があるだろう。来週13日の雇用データでは賃金上昇圧力の強さを注視。15日には1-3月期国内総生産(GDP)速報値や3月鉱工業生産が発表予定となっている。

 加ドルは、米加関係の行方に左右されそうだ。カーニー加首相は6日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。その後の記者会見でトランプ米大統領が「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉が始まる可能性」と述べ、これが好感されて加ドル買いが強まる場面もあった。もっとも米大統領は、カナダに課した関税について撤回する考えはないことを強調。さらに、カナダ国民を怒らせている「カナダは米国の51番目の州になるべき」という持論を改めて示した。米加首脳会談は、重要な貿易問題についても平行線のまま終了。しかしながら、両首脳ともに「話し合いは建設的だった」と述べており、協議継続にも前向きな姿勢を見せた。

 米国にとって、カナダはメキシコに次ぐ第2の貿易相手国であり、米製品にとっては最大の輸出市場。さすがにトランプ大統領も、強気一辺倒では交渉が進まないことに気付き始めている。カナダにとっても貿易戦争の長期化は同国経済にとって脅威であり、カーニー加首相もなるべく早いうちに落ち着き処を見つけたいだろう。米加首脳は今後、6月中旬にカナダ西部カナナスキスで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議で再会する。
 
5月5日週の回顧
 週前半に全般円高が進み、対円でポンドは190円前半、加ドルは103円前半まで下落した。ただ、その後は米中貿易摩擦の緩和期待や英米通商合意の報道を背景にリスク志向ムードが広がると、ポンド円は193円半ばまで反発。加ドル円も105円手前まで切り返した。また、ポンドドルは買い先行も1.34ドル付近では上値を抑えられ、1.32ドル前半まで戻り売りに押された。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばから1.39加ドル前半まで売りが強まった。(了)

(執筆:5月9日、9:00)

国内イベントスケジュール

2025/05/05 06:15
5日
こどもの日の祝日で休場
6日
みどりの日の振替休日で休場
8日
08:503月18-19日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
9日
08:303月家計調査(消費支出)
08:303月毎月勤労統計(現金給与総額)
14:003月景気動向指数速報値
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

海外イベントスケジュール

2025/05/05 06:30
5日
15:304月スイス消費者物価指数(CPI)
16:004月トルコCPI
22:454月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値
22:454月米総合PMI改定値
23:004月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数
6日
02:00米財務省、3年債入札
中国(労働節)、香港、韓国(灌仏会)、英国(アーリーメイバンクホリデー)、休場
10:303月豪住宅建設許可件数
10:454月Caixin中国サービス部門PMI
14:454月スイス失業率(季節調整前)
15:453月仏鉱工業生産
16:504月仏サービス部門PMI改定値
16:554月独サービス部門PMI改定値
17:004月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
17:304月英サービス部門PMI改定値
18:003月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
21:303月カナダ貿易収支
21:303月米貿易収支
23:004月カナダIvey購買部協会景気指数
7日
02:00米財務省、10年債入札
独首相指名選挙
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
韓国(こどもの日の振替休日)、休場
07:451-3月期ニュージーランド(NZ)失業率/就業者数増減
15:003月独製造業新規受注
15:004月スウェーデンCPI
15:453月仏貿易収支
15:453月仏経常収支
17:304月英建設業PMI
18:003月ユーロ圏小売売上高
20:00MBA住宅ローン申請指数
23:30EIA週間在庫統計
8日
03:004月ブラジル貿易収支
03:00米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
03:30パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
04:003月米消費者信用残高
06:30ブラジル中銀、政策金利発表
08:014月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格
15:003月独鉱工業生産
15:003月独貿易収支
16:30スウェーデン中銀、政策金利発表
17:00ノルウェー中銀、政策金利発表
20:00英中銀(BOE)、政策金利発表
20:00英中銀MPC議事要旨
21:004月メキシコCPI
21:301-3月期米非農業部門労働生産性・速報値
21:301-3月期米単位労働コスト・速報値
21:30前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
23:003月米卸売売上高
9日
02:00米財務省、30年債入札
ロシア(祖国防衛者の日の振替休日)、休場
15:004月ノルウェーCPI
15:00レーン・フィンランド中銀総裁、講演
16:003月トルコ鉱工業生産
16:004月スイスSECO消費者信頼感指数
17:40ベイリーBOE総裁、講演
19:15ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
19:45バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
20:15ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
21:004月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA)
21:304月カナダ雇用統計
21:30クーグラーFRB理事、講演
22:10シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
23:00グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
ロシア(戦勝記念日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。