NY為替見通し=4月米PCEデフレーターを見極めつつ、債務上限関連のヘッドラインに要警戒か

 本日のNY為替市場のドル円は、米国4月PCEデフレーターを見極めつつ、債務上限関連のヘッドラインに警戒する展開が予想される。

 米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している4月米PCEデフレーターは前年比+4.3%と予想されており、3月の前年比+4.2%からの上昇が見込まれている。予想通りに上昇していた場合、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの0.25%の追加利上げの可能性がさらに高まることで、ドル買い要因となる。
 また、5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)での1年先の期待インフレ率にも要注目となる。
 昨日発表された米国の1-3月期コアPCE改定値は前期比+5.0%へと上方修正されており、ウォラーFRB理事が言及した6月FOMCでの利上げを裏付けるデータが揃いつつある。

 バイデン米政権とマッカーシー下院議長(共和党)との債務上限引き上げを巡る協議は、債務上限を2年引き上げる一方で、軍事費や退役軍人向けプログラム以外の大方の支出を抑制する案で合意に近づいていると報じられており、本日も関連ヘッドラインに警戒していくことになる。共和党の最大会派を率いるケビン・ハーン下院議員は、債務上限引き上げを巡る合意が本日26日の午後までに得られる可能性がある、と述べている。
 米財務省の現金残高は、24日時点で495億ドルまで減少しており、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルに接近している。

 6月1日のXデイの直前の来週5月29日は、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)の休日となるため、債務上限の引き上げを最終的に承認する上下両院の議員達は、本日からワシントンを離れて、30日以降に戻ってくることになっている。そして、債務上銀引き上げが妥結した場合、30日と31日に上下両院で採決されて承認されることになる。

 しかし、債務上限が引き上げられても、2011年8月に格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが米国債を格下げしたことの再現の可能性は残されており、格付け会社からの関連ヘッドラインには警戒しておきたい。これまで、大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは、米国債の格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、ムーディーズは、交渉担当者がデフォルトを想定していると公的に示唆すれば、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更し、デフォルト発生前に行動する可能性がある、と警告し、格付け会社DBRSモーニングスターは、米国の「AAA」格付けを引き下げ方向で見直すと明らかにしている。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、ピボット・レジスタンス2の141.11円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、5月25日の安値の138.83円。



(山下)
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