週間為替展望(豪ドル/ZAR)-NZドル、RBNZの金融政策に注目

◆豪ドル、RBAのタカ派姿勢に変化
◆NZドル、RBNZの金融政策に注目
◆ZAR、首脳会談では友好の糸口掴めず

予想レンジ
豪ドル円 90.00-94.00円
南ア・ランド円 7.70-8.20円

5月26日週の展望
 豪ドルは、上値の重い動きが予想される。今週(19-20日)に開催された豪準備銀行(RBA)の政策決定理事会では、予想通り政策金利の0.25%引き下げが決定された。声明文では「インフレ率は目標レンジ内にあり、上振れリスクは減少している」と言及。ブロック総裁は状況が変化したとして「インフレの低下が続くようであればさらに金利を引き下げる余地がある」などの見解を示し、これまでタカ派姿勢を維持してきたRBAの姿勢に変化が見られた。なお、RBAの姿勢変化が手掛かりとなり、金利先物市場では年内に3回(0.75%程度)の追加利下げを見込んでいる。

 来週の注目は28日に予定されている4月消費者物価指数(CPI)だろう。RBAが今回の声明文で見通しに関して「不確実性」という文言を繰り返し使用していたように、現在は米国の関税政策などに絡んで先行きの経済・物価・金利を見通しにくい状況となっている。これまではRBAが四半期ベースでのインフレ動向を重要視している影響もあって、単月のCPIに対する注目は高くなかったが、今後は追加の利下げ余地を探るうえでもより丁寧に確認していく必要がありそうだ。その他では30日に4月住宅建設許可件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。

 隣国のニュージーランド(NZ)では28日に予定されているNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策決定会合に注目。前回(4月9日)の声明文では「必要に応じてさらなる金利引き下げを行う余地がある」との見解が示されていたが、市場では今回の会合でも6会合連続となる利下げが実施されるとの予想となっている。ただ、利下げ幅に関しては前回から0.25%へと縮小されており、そろそろ現在の緩和サイクルが一段落する可能性もある。金利先物市場では今回も含めて3回(0.75%程度)の利下げを織り込んでいる状況だが、声明文などで今後の緩和余地に関して確認しておきたいところだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開か。注目されていたラマポーザ南ア大統領とトランプ米大統領の首脳会談では、米大統領がほぼ一方的に南アで白人農民を標的とした「ジェノサイド」が行われているとの主張を展開。南ア大統領は否定したものの、およそ友好的と言えないまま終了した。多くの欧米メディアが虚偽だとしている米大統領の主張はともかくとして、米国と南ア間の対立に改善の兆しが見えないことは、米国が中国に次ぐ貿易相手国である南ア経済にとってマイナス材料と言えるだろう。なお、来週は南ア準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)を29日に控えており、同国の金融政策についても注目しておく必要がありそうだ。

5月19日週の回顧
 豪ドルは対円で軟調に推移。RBAの金融政策公表後に豪ドル売りが出たほか、ドル円がさえない動きとなった影響もあり、92円割れ水準まで弱含んだ。ZARは全般にドル売りが進んだ流れに沿って、対ドルでは昨年12月以来のZAR高水準を更新。一方、対円ではドル円が下落した影響でやや上値の重さが目立った。(了)

(執筆:5月23日、9:00)
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